Zwiftを使って低予算でパワートレーニングを始める
3年前にゲーム性に興味を持ちZwiftを始めたのですが、あまり熱中せずに暫く離れていました。ところが最近パワートレーニングを始めたことでZwiftがとても楽しいことに気づき、またこれを使えば低予算でもパワートレーニングができることに気付きました。
むしろトレーニングだけであれば、パワーメーター要らないんじゃない?とすら思います。
パワーメーターは高価だから自分にはパワートレーニングは縁が無いと思っている人にも、そこまで遠い話じゃないと思いますので興味ある方は検討してみてはいかがでしょうか。
Zwiftとはなんぞや
まずは簡単にZwiftの説明を・・・
簡単に言うと、ローラー台に自転車を固定しペダルを回すとPCやスマートフォン(iOS、Android)上のバーチャルワールドで他のプレーヤーと一緒にゲーム感覚でサイクリングができるシミュレーターです。
ローラー台の種類は、固定ローラーでも、3本(4本)ローラーでも可能で、スマートトレーナーと言われる種類のローラー台ならゲームに連動して自動で負荷が強くなるといった、より高いゲーム性・バーチャル感を楽しめます。
↓こちらのサイトで導入について詳しく書いてあるので、参考になるかと思います。
パワートレーニングを始めるのにZwiftが向いている理由
なぜパワートレーニングを始めるのにZwiftが向いていると考えるのか、理由は以下3つです。
- Zwiftはパワー計測ができ、金銭的敷居が低い
- パワートレーニングに必要な要素が揃っている
- データ管理の敷居が低い
パワートレーニングは今まで、パワーメーターを買って、メニューを考えて、データ管理をするという3つの要素が必要でしたが、Zwiftはこれが揃っています。
以下、その理由を簡単に説明していきます。
Zwiftはパワー計測ができ、金銭的敷居が低い
今まではパワートレーニングをする場合、パワーを計測するためにとても高価なパワーメーターを買わないといけないと思っていました。
しかし、Zwiftはローラー台の負荷とホイールの回転数をかけ合わせてパワーの推定値(Zwift Power、zPowerと言います)を表示するパワー計測の機能を持っているため、パワーメーターが無くてもパワートレーニングができてしまうんです。
Zwiftの導入は少し前まではPCや色々な変換機が必要でしたが、スマートフォンに対応し一気に敷居が下がりました。
今では、スマートフォン、ローラー台を持っていれば、あとはBluetoothに対応しているスピードセンサーを用意すれば導入できてしまいます。
パワートレーニングに必要な要素が揃っている
パワートレーニングは地形や信号などに邪魔されない環境が効率的なので、屋外での走行には向いていません。
そして、トレーニングをするためには、トレーニングメニューが必要ですが自分で考えて負荷や時間を管理しないといけませんでした。
しかし、その点でZwiftは屋内でローラー台を使ってするものであるし、且つトレーニングメニューについては30分から数時間に及ぶものまであらかじめ用意してあります。
データ管理の敷居が低い
StravaやGARMIN、TrainingPeaks、fitbitなどの様々なサービスと連携ができます。
私はStravaと連携をしています。データ管理というほど何もしていないのですが、何か変化を見たくなった時に気軽に見返せるのは良いですよね。
気軽にはじめたけど、トレーニングへの熱意が生まれた時にも良いかと思います。実際、半年以上に取ってたデータを見直したりしました(笑)
スマートフォンでのZwiftの導入方法について
具体的に導入方法についてですが、なるべく費用をかけず汎用性があると思う方法を紹介します。
必要なものは、先に紹介したとおりスマートフォン、スピードセンサー、ローラー台です。
スマートフォン
Tabletでも大丈夫なはずですが、手持ちのもので動作するかを事前に確認しましょう。
アプリストアからインストールをし起動します。7日間はトライアルができるのでその間に「見学」を選べば起動をするかが確認できます。
私はiPad miniと、Androidのスマートフォンでやっていますが、Androidは普段の生活で使っているものではなく、機種変をした際に以前使ってたいらなくなったHTC 10というスマホを使っています。(普段使っているXperia XZ2 Premiumでも動作確認済。サクサクです)
Android8.0にアップデートしていますが、2016年6月発売の製品なので結構古いスマホでもいけると思います。
スピードセンサー
スマートフォンの接続はBluetoothがメインになるので、センサーはBluetoothに対応しているものを用意しておく必要があります。
Zwiftはスピードセンサーだけあればできるのですが、ケイデンスの計測できるためできればスピード&ケイデンスセンサーを買いたいところです。
またZwift以外のライド時にGARMINやBrytonなどのサイクルコンピューターを使うこともあると思うので、ANT+とBluetoothの両対応のセンサーをオススメしたいです。
通販では手に入らないのですが、私はGIANTのものを使っていました。
通販だと、↓この辺かと思います。
最近、GARMINのANT+のスピードセンサーが調子悪いので買い替えた↓こちらも使えました。
このセンサーの場合、Zwiftをやるだけなら1つだけ買ってスピードセンサーとして使えばOKです。ケイデンスも見るなら2つ必要です。
センサーについて詳しくない人は以下の記事を参考にしてください。
ローラー台
ローラー台はスマートトレーナーというコースの上り下りによって負荷が連動するようなローラー台もあるのですが、個人的には固定ローラー台をオススメします。
安いし、パワートレーニングをやるには負荷は一定で変える必要はないかと思っています。そして負荷の強弱で言うと弱めのもので通常は十分かと思います。私はミノウラのLR760というものを使っていますが、設定13段階に設定できるのですが、弱い方から3段目までしか使ってないくらい十分すぎる負荷がかかります。
価格は高めなんですがダンシングがしやすいGROWTACのローラー台が個人的にはおすすめです。
トレーニング目的ではなく回すだけなら何でも良いんですが、トレーニングをはじめると一気にパワーを出す場面がありこの時にはダンシングがスムーズにできるローラー台が良いんですよね。
ちなみに、対応しているローラー台はZwiftのサイトにも掲載されているので、この中から静音声と価格で選ぶと良いと思います。
ローラー台は中古ショップで1万円以下で売っているので対応しているのを探して中古で買うのもありだと思います。先に導入で紹介したサイトではミノウラのLR341をオススメしていましたが、私も今らLR760より341(か340)をオススメします。
設定方法
設定方法は別のサイトを見て貰ったりした方が良いかもですが、一通り載せておきます。
いよいよトレーニングを開始する
先のセンサーを取り付けた場合、ローラー台だけでなくケイデンスセンサーを登録すると回転数も計測できるので色々と参考にしやすくなります。
とりあえずFTPを計測
とりあえずFTPを計測がおすすめです。FTPはパワートレーニングで一番最初に知る言葉かと思います。1時間全力で走ることができるギリギリのパワーで、ペダルをこぐ強さの基準にもなったりします。
パワートレーニングは、このFTPを基準値に運動強度をコントロールしていきます。
FTPの計測方法としては、スタート時に「トレーニング」を選び「FTP Tests」の項目を選び、更にその中の「FTP Test」か「FTP Test(shorter)」を選びます。
FTPは自分の成長とともに上がるので、できれば1ヵ月に1回など定期的にやって更新していった方が良いので、私は自分が嫌にならないように45分でできる「shorter」を選んでいます。
shorterは序盤はウォームアップで後半に20分の全力走があり、その20分が終わるとFTPが表示され、自動で次のトレーニングから基準値(パワートレーニング的には境界線の意味でしきい値と呼ばれるようです)としてFTPがセットされるようになります。
ちなみに、このFTPのパワーを境に乳酸がたまり始め筋肉疲労が激しくなります。
パワートレーニングの基礎?
FTPを測ったら、自動でトレーニングメニューのベースにFTPがセットされます。なので、FTP Test後はどのトレーニングメニューを選んでも強度は自分に合わせてあるため、それなりにキツイようになっています。
では、この後どういったトレーニングメニューを選べば良いかと言うことなのですが、簡単に言うと自分が目指しているものにあったトレーニングを選ぶ必要があるそうです。
例えばクリテリウムのようなレースであればコーナーで減速して立ち上がりで高出力で加速する能力が求められるので、高強度のインターバルトレーニングというのが必要で、短い時間に合わせてのトレーニングが必要だそうです。良く「もがき練習」という言葉を使う人はこういった一気に高出力を出す練習なんだと思います。
また、逆にヒルクライムなど若干長い時間でなるべく均等に高出力を出し続ける走り方が必要であれば、FTPの値に近いトレーニングが良いそうです。
ただ、実際にトレーナーの方に立ち話で聞いたところ、これから始める人はSST(スイートスポットトレーニング)というトレーニングで毛細血管を太くするのが成長しやすいと言ってました。
SSTは、簡単に言うとFTPの約90%程度の強度でのトレーニングのことを言い、有酸素運動が鍛えられる領域です。
パワートレーニングをやるとすぐにVO2maxとSSTと言う言葉を知ることになります。人は運動するのに酸素を使用しますが、この扱える酸素量をVO2maxと言います。
運動強度が高まると酸素を多く使うので、より大量の酸素を運ぶため心臓が活発に動き血流を促し心拍数が上がります。酸素を送るために必用なのは心臓だけでなく、チューブとなる血管が太く体中にめぐらされることで運搬能力が更に向上します。
自転車競技やマラソンなど有酸素運動がメインなので体中に酸素を運ぶ能力がとても重要になるため、強度に関係なくどの状況にも役立つそうです。そのためSSTを早めにやっておくことが効率が良いそうです。
どのトレーニングをするか。TSSか時間で考える
VO2maxとSSTについて分かったところで、んじゃ何やれば良いの?というところなんですけど、なぜZwiftがパワートレーニングを始めるに良いかと言うと、
- トレーニングをしたいけどどのくらいやっていいか目安が分からない
- 時間が無い
- メニューが分からない
というこの3点をすべて解決できるからなんです。家でのトレーニングは時間を作るのが大変、何をやっていいのか分からない、成果が出てるのか分からないというような問題があるのですが、これを解決するものがZwiftには揃っているということです。
トレーニングの目安ですが、どのくらい体が疲れたかという「体をいじめた数値」にTSS(トレーニングストレススコア)というものがあります。トレーニングによってどのくらい体がストレスを感じたかを数値化したものですが、FTPで1時間運動するとこのスコアは100になります。
これがZwiftのメニュー内には表示されているのでフィットネスなどで「体をいじめたい人」はこのTSSを見てメニューを選ぶのが良いと思います。
TSSは150を超えると次の日に疲れが残る目安に使えるのですが、これは個人差があると思うので自分なりの目安を作ると良いと思います。私はZwiftであれば50を目安にしています。
時間が無い人は、自分ができる時間のトレーニングメニューを選んでTSSで運動強度を見てどのくらいなら続けるられるかを推測するのが良いかと思います。
そして、どのメニューを選ぶかなのですが、非常にメニューが豊富で、トレーニング別、時間別、目的別など様々な軸で用意されていて、その中でも私は「自分のモチベーションを維持できる」という観点で30分でそれなりに強度が高い「John’s Short Mix」と「Emily’s Short Mix」をやっています。
JohnのはFTPの3倍も高出力を出すスプリントのインターバルが入っていて最後にSSTという良いとこどりのメニューで、EmilyはSST重視のメニューという印象です。
自分をいじめる意味でTSSは50くらいと思ってるのですが、メニュー上は40程度なのに実際に私がやると結果は48くらいの数字が毎回出ているので調度満足するいじめ具合です。(ただ時間は短いので特にJohnの方は効果は不明)
これを平日に週2~3回のペースでやり、週末はロングライドをして効果を上げていこうとしています。
データを見てモチベーションを継続する
最後にデータ管理について。
Zwiftの走った後のデータは、TSSなどは残らない概要でしかないんですが履歴を確認することができます。
Stravaと連動することで実際に外を走ったかのように走行距離も残してくれるので、月の走行距離も伸びて満足感にもつながります。
まとめ
パワートレーニングと聞くと、競技として取り組んでいる人のものだと思っていました。
私は昨年パワーメーターを買いましたが、購入動機もグループでライドする際のペース管理が目的でパワートレーニングについては面倒くさい印象しかなかったのですが、Zwiftのメニューを繰り返すくらいなら気楽だし・・・と始めたら興味が出てきました。
もし、平日も乗りたいな~とか、もっと週末のロングライドを充実させたいと思ってる人がいたら検討してみたらどうでしょうか。
どうしてもZwiftはスマートトレーナーを使って走ると楽しいという部分に視点が行ってしまうのですが、固定ローラーとセンサーを手に入れればそこまで費用をかけなくてもパワートレーニングができるツールなんだと気づけば、全く違ったパワートレーニングのシミュレーターという見方に変わります。
私は平日でも時々夜のナイトライドをしに行くことが多かったんですが、同じコースを走っているといつしかモチベーションは下がってきて寒さに負けて平日は走らなくなっていました。
ところが、Zwiftでパワートレーニングを始めたらむしろ外ではパワートレーニングがしにくいからZwiftの方が良い!というくらいに・・・。もともとローラー台は退屈なものだったのですが、画面を見てワット数を気にしながらインターバルをやっていると意外に30分はあっという間です。
競技思考とまでいかなくても、フィットネス&週末のライドを充実させたいという方も始めてみてはどうでしょうか。平日の夜がとても充実しますよ。
終