フレーム形状から見るロードバイクなどスポーツバイクの個性と選び方について

与太話ジオメトリ,フレーム,考察

グラベルを含めロードバイクを5台乗ってきてメーカーの人に聞いたり雑誌やネットで見た情報から、フレームの特徴の読み解き方が自分なりにできてきたのでご紹介したいと思います。

ちなみに・・・受け売りであってフレームの開発や製造をしたり専門学校などで学んだ訳ではないので、100%鵜呑みにせずあくまで与太話の話半分として、自分の自転車の特徴を意識したり新たなフレームを購入する際の参考として読んでいただければと思います。

フレームを見る時の基本の考え方

フレームを見るに当たっての基本的な考え方ですが、フレームは基本的にスタックと剛性を見ていきます。

乗車ポジションに関するジオメトリのスタック

フレームを見る際に最初に必ず見るものとしてフレームの寸法があります。この寸法をジオメトリと言います。

余談ですが、まずフレームを選ぶ際は自分が乗れるサイズなのかという視点で選ぶことになります。ロードバイクはサドルに座った状態だと地面に足が届きにくい(届かないorつま先立ち)状態になるので、停止時にはサドルから腰を下ろしてトップチューブに跨って地面に足をつきます。このため、まずはトップチューブに跨れるかどうかが重要になりますがこの数字はジオメトリで言うとスタンドオーバーハイトという数字で表されます。

このスタンドオーバーハイトが自分の股下の長さより数cm低いと自分が乗れるフレームとなります。

・・・ところが、このスタンドオーバーハイトという数字を公表していないメーカーが結構あるので困るのですが、その場合は近い数字としてシートチューブが目安になってきます。ホリゾンタルフレームの場合は必然的にシートチューブ長が長くなり、スローピングだとシートチューブ長が短くなります。

ここまでは余談ですが、フレームの特徴としてスタックという数字があり、簡単に言うとスタックの値が大きいとハンドルの位置が高くなるため乗車姿勢が起きた状態になり、小さいほどハンドルを下げることになるので前傾姿勢が深くなっていきます。

ハンドルが高く乗車姿勢が起きた状態と言うとマウンテンバイクを想像してもらうと分かりやすいのですが、バイクコントロールがしやすくなり安定感が増すかわりにスピードを出すのには向いておらず、前傾姿勢が深くなると逆にスピードは出しやすくなりますが、バイクコントロールが難しくなっていくという特徴がでてきます。

これまでロードバイクはレースタイプとエンデュランスタイプに分けられていても、実はジオメトリに大きな特徴を見つけることは難しく個性を読み取ることが難しかったのですが、2018年頃から如実にジオメトリにも違いが出てきたと感じています。

その大きな転換期はSPECIALIZEDのラインアップで、エンデュランスタイプのROUBAIX(ルーベ)とオールラウンドなレースタイプのTARMAC(ターマック)の存在だと感じています。

ロードバイクは色々な技術を謳いながらも、明確にこのバイクが速い!と言う世論が生まれることはありませんでした。

そんな中、2016年頃にジワジワと評判になってきたバイクにエアロタイプのVENGE(ヴェンジ)があります。競技勢を中心にVENGEに乗り換える人が増えていきました。

とは言え、ロードレースには山岳コースもあるため、平坦特化型のエアロフレームを受け入れ難い風潮もあり、競技勢の中でも全ての人がVENGEに乗り換えることもありませんでした。

そうこうしている内にVENGEの空力テクノロジーを取り入れた安定性がありながらも速さも兼ね備えた新型ROUBAIXが市場に投入されます。

今まで特徴がイマイチつかめなかった印象から明らかに戦闘力のアップした新型ROUBAIXの登場に直面した競技勢が思ったのは必然でした。「フラッグシップモデルは更に速いに違いない!」と。

そして、そのユーザーの予想通り先の2台のバイクを多くの面で上回るフラッグシップのTARMACが市場に登場し、一気に話題を奪っていきました。これ以上は無いんだろうと思われたVENGEとROUBAIXの存在を無きものにするかのような存在感。今なおTARMACの存在はセンセーショナルであると感じています。

このTARMACの存在や概念がロードバイクのフレームを刷新したように感じています。(個人的に今の流行りのフレーム形状の先駆けはBMCだと感じていますが)

しかし、このTARMACの強烈な存在感により、今までエンデュランスとカテゴライズされていたバイクの個性は更に薄れていってしまいました。ただ偶然か、同時期にアメリカを中心として高まってきたグラベルのニーズに引っ張られるようにエンデュランスバイクの役割はただの長距離ではなく「長距離を走る上で様々な状況にも対応できる」バイクへと自然に変化していき、きれいな舗装路ではなくギャップの大きな道やグラベルなど様々な路面でも走れるようなオールロードへと特徴が明確化され差別化されていきました。

と言うことで長くなりましたが、TARMACのようなロードレース向けバイクはスタックが小さく前傾姿勢を取りやすいスピードを出すためのバイクとなり、ROUBAIXのようなエンデュランスバイクはスタックが大きく乗車姿勢が起きていおり、操作性に優れ様々な状況下でも安定して走れるバイクというようになっていった訳です。(推測です)

現在ではSPECIALIZEDやTREKなど大手を中心にその特徴がなされ、中にはかつてはエンデュランスと称されていたバイク(BIANCHI IMPULSO)がグラベルバイクとしてラインアップの変更された物すら存在します。

前置きが長くなりすぎましたが、ここで言いたいのは「長距離を走りたい」というニーズから「エンデュランスバイクが良い」という安直な考えはやめた方が良いということです。スタックが低いバイクはスペーサーを入れることでハンドルを高くすることはできますが、そもそもスタックが大きいバイクはハンドルをもっと下げたくてもできないことがあるからです。

エンデュランスバイクを選ぼうとする人は乗り心地の良さを求めると思うのですが乗車姿勢は乗り心地以上に走る根本にかかわることなので、乗り心地を見るのであれば「エンデュランス」という言葉に惑わされずにフレームの細部を見る方が良いと考えます。

フレームの特徴は各チューブの剛性の組み合わせ

前置きが本当に長くなってしまったのですが、ここからが当記事の本題です。

自転車の剛性というのは、「全体的に」剛性が高いというものではなく、BB、ダウンチューブ、チェーンステー、シートチューブ、トップチューブ、シートステー、ヘッドチューブという各チューブの剛性を上げたり下げたりし、それぞれが組み合わさってフレームの特徴(個性)となっています。

当然、開発者としては細かい設計があるのだと思いますがそこまで私は読み取ることができていないため、あくまで各チューブの形状から剛性を想像して「コンセプト(開発意図)」を読み取っていくことになります。

例えばですが、ダウンチューブが太い場合はペダルを踏んだ際のバイク全体から返ってくる反発(反応・レスポンス)が速くすぐに推進力に変わるので加速が良く、逆に細い場合は反応は鈍いけどしなやかで伸びが良いといった特徴があります。これはダウンチューブのみを見た場合ですが、他の部分も同じように読み取っていくことによってどういった自転車なのか開発意図を読み取る要素として使うことができます。

このような見方を当記事では紹介していきます。

前三角と後ろ三角を見てフレームの第一印象を掴む

自転車のフレームは前三角と後ろ三角というものが頻繁に言われます。この三角が前と後ろでそれぞれ役割があります。

まず、ざっくりと自転車のフレームの第一印象を掴むためにこの三角形を見ていきます。

前三角と後ろ三角の役割

前三角は主にトップチューブとダウンチューブで形作られていて、後ろ三角はチェーンステーとシートステーで作られています。

端的に言うと、前三角は直進性、操作性、踏み込む力の伝達に関係し、後ろ三角は推進力に関係しています。(他にも細かい効果は様々ですが)

前三角は剛性が上がると自転車自体の反応(レスポンス)が速くなったり地面の凹凸などの振動がハンドルに伝わりやすくなりますが、剛性が低いと路面からの突き上げなどがマイルドになる反面、しなりやねじれによりパワー伝達にロスが生まれてしまうことになります。

後ろ三角は剛性が高いとペダルを踏んだ際の反応は速く加速を得られますが路面の凹凸などで跳ねやすくなり、剛性が低いと反応は鈍くなりますが路面の凹凸でも安定しやすくなります。

三角形の大きさを見て剛性からフレームの第一印象を掴む

こういった特徴を踏まえて自転車の第一印象をとらえる時に三角形の大きさを見ています。三角形の大きさが大きくなるとチューブ自体が長くなるのでしなりやすくなるため剛性は下がり、三角形が小さくなると剛性は上がっていきます。

最近のバイクは前三角は大きく路面からの突き上げなどを抑えつつ後ろ三角を小さくして剛性を上げ、パワーロスを抑えた設計が主流になっているようです。

また、フレームサイズの大小でもこの影響を受けることは意識しても良いと思います。

各チューブの役割

いよいよチューブ毎を見ていきます。

先に書いた通り、BB、ダウンチューブ、チェーンステー、シートチューブ、トップチューブ、シートステーを見ていくのですが(ヘッドは省略)、フレームがなぜあの形をしているのかということを交えて各チューブの役割を見ていきます。

剛性の視点から見るBBの役割

最初に分かりやすいのがBBです。BBに関しての剛性の見分け方は簡単で、BB周辺が大きいと剛性が高く小さいと剛性が低いです。

自転車は人の脚がペダルを踏む(こぐ)ことによって動力となって進むわけですが、人の脚が踏み込む力の流れは、ペダルを伝わりBBでフレームに接続されダウンチューブとチェーンステーを伝わってホイールへと伝達されます。当然ホイールは地面に反発をされるのでBBとチェーンステーがしなりBBは沈み込みます。

この時、ダウンチューブとチェーンステーが細ければ細いほど、ペダルに力が加わった時2つのチューブは大きくしなり、逆に太ければ太いほど硬くしならないことになります。

「自転車はダウンチューブとチェンステーだけあれば良くて、トップチューブとシートステーは無くても良いからね」と聞いたことがある人がいるかもしれませんが、それはこのBBを中心にダウンチューブとチェーンステーで自転車が支えられているからと考えられます。

このダウンチューブとチェーンステーの剛性を高めるためにはチューブを太くする必要があるのですが、太くするには当然接続されているBB周りも大きくしなければなりません。

このように自転車の剛性を上げるとなると必然的にBBを大きくする必要があり、BBはダウンチューブやチェーンステーの太さと因果関係があります。

とは言え、最近のカーボンフレームはたいていBB周りが大きくなってはいますので、見るとするとBB周りが華奢かどうかという点のチェックです。ここが華奢であれば何か特別な意図があると考えてみるのが良いはずです。

ダウンチューブの役割と剛性

ダウンチューブは前述のとおりBBにかかる力とタイヤが地面から反発する力を支える(跳ね返す)働きをします。この部分が柔らかいとペダルを踏んだ際に力が逃げてしまいロスが生まれてしまいますが、あまりに剛性が高すぎると今度は脚への跳ね返りが強すぎて体への負担が大きくなります。

また、特にダンシング時は、車体(ハンドル)は踏み込む脚とは逆方向に力が加わっているので(右足を踏み込む時は左にハンドルを押すか右のハンドルを引いているので)、ペダルを強く踏み込んだ際はねじれる力が加わります。

そのため、ダウンチューブの剛性はペダルを踏んだ際のパワーを推進力にかえる効率に最も影響し、また路面からの振動や衝撃といった路面状況の影響も大きく関係します。極端に言うとここの剛性が高いと反応の良さや推進力になり、低いとしなやかさが増すという見方ができます。

体重や筋力といったライダーのフィジカルに大きく依存するのですが、このしなりによる跳ね返りを考えて推進力を生み出す設計がされているものもあれば、しなりよりも反応の良さを重視してアタック重視の設計がされているものもあります。別の視点で見るとペダリングが雑な場合でもフレーム側がそれを推進力に変えるといった設計がされていることもあるため、少しマニアックですが関節の硬さなども考慮してどのフレームがライダーに合うかというのも選定理由になることもあるそうです。

チェーンステーの役割と剛性

ホイールとフレームを繋いでいるチューブのもう一方がチェーンステーです。このチェーンステーは競技勢などが口にする「かかりの良さ」に影響するようです。私は競技はしないので推測ですが、「かかりの良さ」とは競技勢特有の表現で感覚的なものになるのですが、ペダルを踏んだ時の「反応+推進力」の意味合いがあるようです。

感覚的な話なので表現が難しいのですが、ハンドル操作やペダルを踏んだ際の反応の速さだけでなく、ペダルを踏んだ時にググッとマシン自体が前に押し進められるような反応があります。このようなレスポンスだけでなく推進力が加味された反応の良さを「かかりの良さ」と表現しているようです。

ダウンチューブはペダルを踏み込んだ際のパワー伝達に関わるところですが、チェーンステーは特に路面への食いつきに関わってきます。ここの剛性が高いと前述の通り「かかり」が良くなるのですが、固くなり過ぎると反発しやすくなるので路面のギャップに対して跳ねやすくなりピーキーになりがちで、突き上げが強く車体が跳ねることによってタイヤと地面の摩擦が抜けがちになりパワーが逃げることになります。

チェーンステーがしなることで路面から跳ねることが無くなり俗にいう「路面追従性」が高くなり平坦だけでなくコーナリングも安定はしますが、剛性が低すぎるとロスが大きくかかりが悪くなります。

と、ここまで書いてきましたが、チェーンステーは実は特徴を読み取るには非常に難しいチューブになっています。というのも形状、曲げ、扁平などの工夫がされているのですが、今のフレームはどれも一定の剛性は確保してあるので、あまりコンセプトを読み解くことができません。

まっすぐのストレートは剛性が高く、それ以外はあまり変わらないと考えても良いと感じています。この後ろ三角の特徴は後述するシートステーの方が特徴が出ているのでシートステーを優先してみる方が特徴は分かりやすくなっています。

剛性は0か100かではないのであくまで傾向として捉えるのが重要で、チェーンステー単体で判断するのではなく後ろ三角を総合して判断するのが良いと考えます。

シートチューブの役割と剛性

シートチューブはサドルを固定するためのチューブです。ここにも様々な手が加えられています。

基本的には左右よりも前後の剛性の調整がしてあり、エアロタイプのフレームに多いのですが、タイヤの形状に沿うようにBB付近でシェイプされているフレームが存在します。ダウンチューブとチェーンステーを中心に設計されているためプライオリティは落ちますが、シートチューブが薄ければ薄いほどしなりが生まれ、シッティング時の路面からの振動が緩和される効果があるようです。(振動であって突き上げに対して影響が出るほどの変化は起きない)

最近のフレームはどちらかと言えば空力を考えたシェイプがされていますが、従来からある丸形のシートチューブのものは剛性が高くシッティング時のパワーロスを防ぐため、特に登坂時のパワーロスを小さくする効果が見込めるため、ヒルクライムを見据えたフレームは丸形のシートチューブが採用されている場合が多くなっています。

とは言え、シートチューブの形状について剛性が語られることはほとんどないので、プロ・アマ問わず入賞を狙うようなレースシーンでもあまり剛性を重要視はしない認識です。

トップチューブの役割と剛性

先にダウンチューブとチェーンステーが自転車の剛性で重要という話をしましたが、ではトップチューブとシートステーは重要ではないかというと補助役として分かりやすいところでは振動吸収性といった機能で貢献しています。

ダウンチューブとチェーンステーが全体的なバイクの剛性に影響を与えていることに対し、トップチューブやシートステーはバイクのニュアンス(雰囲気)を作っていると考えて貰うと良いと思います。

大きく性能に影響が出ないからこそメーカーやフレーム毎に大胆な工夫がされ、この補助役の部分こそフレームのコンセプト(開発意図)が現れやすい部分だと感じています。実際にメーカー、自転車雑誌、自転車店のWebサイトなどではフレームのコンセプト自体を語る部分としてダウンチューブやチェーンステーよりもトップチューブやシートステーを使って語られることが多くなっています。

トップチューブの剛性は、特にフォークを伝わってかかった反発に対する反応に影響しています。ダウンチューブにかかる力をサポートするようにトップチューブが力を一緒に受け止めます。この際に剛性が高い場合は路面からの情報がダイレクトに伝わりますが、低い場合は路面からの反発をいなしてマイルドになります。

シートステーの役割と剛性

シートステーはチェーンステーの補助約として効果を発揮します。チェーンステーは後輪に押し上げられるように力が加わりますが、シートステーはこの力をそのまま押し返す働きをします。

ここは良く路面からの突き上げなど乗り心地に関わる部分として語られることがあります。

チェーンステーの部分でも触れましたが、シートステー単体でどういった効果があるかではなく後ろ三角の剛性により、後輪が路面に食いついたり路面の反応がフレームを伝わってサドルに伝わったりします。

ただし、こちらもチェーンステーで触れた通りチェーンステーが特徴が見えにくいチューブに対し、シートステーはフレームごとに非常に個性が現れる箇所になっていて、どのメーカーも見た目の美しさも含めて特徴を出してきています。後ろ三角の特徴はシートステーを見て行ると分かりやすいと思います。

参照元:Wiggle Eddy Merckx – 525SL キャリパーロードフレーム

 

基本的に形状のパターンとして、ストレートの円>扁平形状>扁平+曲げの順に剛性が低くなっていきます。EM525は後ろ三角の剛性を意図的に落としてあるという意図を読み取れます。

チューブ剛性の見方、考え方

続いてそれぞれのチューブがどうなっていると剛性が高いのかという、チューブ自体の剛性の見方について触れていきます。

単体での剛性については以下の点に注目するのが分かりやすいと思います。

  • フレームの材質と重量から読み取る素材の厚み
  • 三角形の大きさ(フレームサイズ、前三角と後ろ三角)
  • チューブの太さ
  • チューブの形状
  • チューブの長さ
  • チューブの曲げ
  • 各チューブの扁平
  • 製造国

フレームの材質

基本的にこの記事はカーボンフレーム向けに書いているのですが、素材が違うものを比較してドツボにハマらないように念のため触れておきます。

まずは材質によってそもそもの根本的な剛性が違います。

ロードバイクのフレーム材質で有名どころとしては以下の順番で剛性が高くなっています。

アルミ>カーボン>チタン>クロモリ

これは素材の硬さ(しなり)だけではなく、加工技術も含めてこのようになりがちです。

バイクを比較する場合、材質が違う場合は同じ視点では比較せず違う乗り物として見ることをオススメします。

また、アルミやカーボンは素材の厚みによって剛性が変わるので見た目からは分からないフレームの厚みをフレーム重量から想像するのも頭の片隅に入れておいても良いかもしれません。

チューブの太さ

基本的にチューブは自転車として存在する限度内であれば太くなればなるほど剛性が増します。細い部分は剛性が低くしなり、太い部分は剛性が高く反発すると考えると良いと思います。最も太さに違いが出る箇所はダウチューブでここが太いと大きなパワーを受けやすい設計と考えられます。

写真上部のFOCUS CAYOはヘッドチューブからシートチューブに近づくにつれ、細くなっていくのが分かる。手前のBASSO ASTRAと見比べてもダウンチューブはどちらも太く大きい。

チューブの形状

特にダウンチューブにおいて言えることですが、だいたい円、四角、三角の3タイプに別れます。基本的にチューブというのは平面部分のからの力に弱いので円→三角→四角の順に剛性が低くなっていきます。(円に関しては楕円の場合は別)

この後説明する扁平にも関わってくることですが、基本的にチューブは力がかかる部分が面であると剛性は低く、面が小さくなり点に近づくほど高くなっていきます。

三角は角の部分にかかる曲げには強く、円(正円)は全ての方向に強く、四角以上の形状は面が小さいほど強く、広いほど弱くなります。(実際に存在するフレームの傾向から端的に特徴を集約した内容を記載しておりますが、絶対的な特性ではなく様々な状況によって変わりますので詳しく知りたい人は独自に調べてみてください)

シートチューブで言うと、円の場合は剛性を高めてあり、かかりを良くする

チューブの曲げ

ストレートではなく、チェーンステーやシートステーに見られる不自然な湾曲のことを曲げと呼んでいます。トップチューブなどで緩やかな弧を描いている場合を曲げと呼ぶことはあまりないようですが、基本的には同様です。

この曲げによって剛性が変わることはあるのですが、正直なところこの曲げの形状によって剛性を判断するのは難しく曲げの形状からの特徴を読み取ることが私にはできません。

ただ、曲げによって分かりやすい点はチューブ自体の長さが長くなる点です。長さが長くなるとしなりやすくなるのでチューブは横からの剛性が低くなります。曲げが入っている部分は長さが長くなっている=剛性を下げてあるという認識を持つようにしています。

シートステーで紹介したEddy Merckxの525は縦にも横にも曲げが入っているので見た目からもカチカチに硬いのではなく、何となく弾力を感じるのではないでしょうか。

最近はかなり多くのフレームがチェーンステーの途中で曲げられていますが、ストレートのものに関しては剛性が高める意図が感じ取れます。

BASSO ASTRAはチェーンステーはストレートですが、シートステーは円形だが路面追従性を意識したような微妙な湾曲した形状をしていました。

各チューブの扁平

扁平と言うのは円で考えると正円ではなく楕円のように潰して平べったくしたものを言い「つぶし」とも呼ばれます。特に金属は分かりやすいのですが、本当に潰したような跡が残っています。

こうした扁平は薄い方の剛性が下がるので、例えば横に扁平したものであれば縦方向からの剛性が下がりしなりやすく、縦に扁平したものであれば縦からの剛性は上がりますが、横からの剛性は下がります。

例えば、ダウンチューブの形状で、オールラウンドバイクは横に扁平された(縦方向につぶしが入った)形状をしていますが、縦方向のしなりは残しつつ、大きな力で踏み込むダンシングをした際のねじれがしにくい工夫がされていて、エアロフレームのように縦型に扁平されたものは空気抵抗は低いもののダンシング時には反応が鈍くなり、縦方向の剛性は非常に高いので「硬い」印象になりやすい傾向があります。

チェーンステーやシートステーにおいても同様で、チェーンステーは特に縦に扁平されて縦向きの剛性が確保されていますが、ロングライド向けのモデルなどは横に扁平され乗り味をマイルドにする工夫がされています。

扁平においてもシートステーは特徴的で、乗り味や路面の追従性を意識したものは横に扁平されていて、ヒルクライムバイクなど後輪の食いつきを重視したものは扁平されていない円のストレートなものが採用される傾向にあります。

メーカーの国

恐らくあまり無い視点だと思うのですが、どこの国のメーカーかによってもそもそもの設計に違いがでます。

簡単に言うと、国民や風土による文化の違いが設計に出ています。

例えば剛性の高い有名メーカーにオランダのKOGAがありますが、オランダは国民の平均身長が高いため体重やパワーが高くなりがちでそれに応えられるような高剛性な作りになっています。

他にも例えばベルギーにはRIDLEYやEddy Merckxというメーカー(ブランド)がありますが、ベルギーは非常に走りにくいパヴェ(石畳)が多いことが有名で路面からの振動や後輪の食いつきが非常に重要なため、大きなヘッドチューブから出るトップチューブが湾曲や扁平という特徴的な形状をして振動をいなしつつ、リアの柔軟性を上げて路面追従性を上げるという工夫が目立ちます。(RIDLEY NOAHやFENIX、Eddy Merckx 525など)

参照元:Wiggle Eddy Merckx – 525SL キャリパーロードフレーム

小柄な人が多いアジアに目を向けると、ブリヂストンアンカーは随所に扁平された加工がされ、CHAPTER2のREREなどのエアロタイプはトップチューブが非常に細身で乗りやすくしなりを活かして加速するような工夫がされています。

こういった各国の環境や文化的背景をヒントとして読み説いていくのもフレームの理解に繋がります。

全体の剛性や乗り心地の調整

「とは言え」ばかりで申し訳ないですが、とは言え競技をしないライダーとして多くの人が気になる部分は「乗り心地」かと思います。

その点では、よほど固いフレームを買わない限りは、どれを購入してもあまり変わらないのではないかと個人的には思います。

ヒルクライムバイクは剛性が高い

この視点で、乗車姿勢以外での乗り心地を気にする場合は「ヒルクライムバイクかそれ以外か」と考えるのが良いと思っています。

簡単に言うと、ヒルクライムバイクは剛性が高いです。

先に記載した様々な情報の視点でフレームを見ていくと、ヒルクライムバイクはダウンチューブが円形で太い、トップチューブはストレート、チェーンステーはストレートか縦型に扁平、最も特徴として出やすいシートステーはストレートで円形、シートチューブも円形になっている場合が多いです。

今乗っているバイクはまさにヒルクライムバイクの特徴が出ています。他にも1世代前のFOCUS IZALCO MAXなどは特徴が想像しやすく非常に分かりやすいと思います。

この視点で「軽量=ヒルクライム」ではなく、軽量においてもオールラウンドタイプとヒルクライムタイプに分けて見ることができたります。

乗り心地に関しては別の数字やフレーム以外で調整する

では乗り心地を重視したい場合は何を見るかと言うと、後ろ三角は前述の通りで良いのですが、フロントからの突き上げなどはフォークの太さやフォークオフセット、トレール、ホイールベース、フロントセンターといった数字を見るのが良いと考えています。

まず、フォークがまっすぐで太い場合はフロントからの突き上げが強いと考えるのが簡単です。フォークがストレートの場合はハンドル操作に関しての反応が良くなるのですが、更に太くなると剛性が上がるのでヒルクライム向けの固いフレームに良く見られます。フォークがストレートでもフォークが細い場合はロングライドなどではなくクリテリウムなどのレースを想定しているので、ハンドル操作に対しては反応は良いけどしなりを使って衝撃をなるべく吸収する工夫がされています。

・・・とはいえ、大きく緩和されるわけではありません。それで言うと、フォークがどのくらい寝ているかや曲がっているかという方が影響は出やすくそれでいうと、オフセット、トレール、フロントセンターといった数字が大きくなればなるほど衝撃吸収には優れ、本来の使い方とは違いますがホイールベースなども同様の目安として見るのも良いと思います。

再度例に挙げますが、BASSO ASTRAのフォークはベントが入っていたのでフロントからの突き上げはかなりマイルドでした。

それでもフレームはあくまで個性でしかないので、劇的に変えるのであれば、ホイールの剛性を上げたり下げたりで調整したり、エラストマー(クッション)入りのステムやシートポストを使ったりするのが目的達成には早いです。

また、フレームがそういった突き上げなどの解消には大きく貢献しないことは、TREKのISOスピード、SPECIALIZEDのフューチャーショック、ラピエールの特殊形状のフレーム+エラストマーといったギミックの技術が存在することからも分かります。乗り心地が気になるのであれば、フレーム形状に拘るよりこういったギミックの活用を優先するというのが手だと考えます。

ロードバイクの選び方に関するまとめ

と言うことで長々と書いてきましたが、これらを集約してロードバイクの選び方に関するまとめです。ここまで読んでもらって分かると思うのですが、これは最初の1台を購入するための記事ではありません。既に1台乗っていて、且つできればカーボンバイクに乗っていて2台目以降を迷っている人向けになっています。

また冒頭でお話しした通り、様々な情報を集めてまとめた受け売りです。受け売りをどのくらい優先するかなども良く咀嚼して参考にして頂ければと思います。

はじめてロードバイクを買う人へ

予防線を貼っておきながらも初めて買う人がこれを読んでしまったとしたら悩むと思いますので・・・

何を買っても良いと思いますが、初めて買う人はそもそもロードバイクというものを理解はできないと思うので当記事のことを色々見て考えても、ただ無駄に悩むだけなのであまり意味がないはずです。

そんな中でも個人的なアドバイスをするとしたら「グラベルを走らない」、「キャンプをしない」、「ロングライドをしたい」という人へは最新のエンデュランスモデルは避けた方が良いと考えています。理由は「乗車ポジションに関するジオメトリのスタック」で長々と書いた通りで調整幅が少ないため乗車姿勢を下げることができない可能性があるからです。

エンデュランスモデルは「前傾姿勢が浅く乗車姿勢が楽なエンデュランスモデルは初心者にもおすすめ!」みたいなキャッチフレーズが使われていて、嘘ではないのですが100%ではなく実は近場を走る分には良いけど体力と筋力を使う乗り方が求められるためロングライドには向かない可能性があります。

それこそ100万クラスの自転車であれば本来のエンデュランスの特徴が出てくるのかもしれないですが経験上数十万では難しいと感じます。またヒルクライム向けも避けた方が良いと感じます。

そのため、個人的には最も汎用性があり今後乗り換える際の基準にもできるという意味でオールラウンドタイプで、できれば軽量のものがおすすめです。

2台目以降を検討中で特徴をつかみたい場合

剛性は前三角と後ろ三角で総合して考えるのがスムーズでが、キーになるのはシートステーだと思います。その中で特徴的な部分を見ていくというやり方がコンセプトをつかみやすいです。

ニーズで見ていくと、ヒルクライムでタイムを競いたいのであればシートステーの形状が円形でつぶしの無い軽量タイプが一つの目安になると思います。

ロングライドをするのであれば、フォークのオフセットやトレイルを見て振動吸収性を想像し、トップチューブがどのくらい扁平されているかでコンセプトを読み取るのが良いと思います。後ろ三角から剛性を考慮して剛性が高ければ長い距離を走りやすく、剛性が低ければ乗り心地に寄せるというイメージになるかと思います。

参照元:Wiggle Eddy Merckx – Lavaredo68 ロードフレーム

写真はEddy MerckxのLAVAREDO68というフレームで、525と比べるとかなりシンプルな形をしています。

525と比較で言えば後ろ三角は小さくチェーンステーとシートステーは共にストレートで大胆につぶしが効いたシェイプ、ダウンチューブは下からの突き上げはいなす形状の三角形でトップチューブは525同様にシートチューブ付近は扁平したシェイプになっています。

通常フラッグシップモデルは剛性が高いものが多く、525はEddy Merckxのフラッグシップなのに明らかにLAVAREDO68の方が剛性が高そう・・・実は以前アンバサダーをやられてて三船さんが短い距離のレースの場合は525でブルベのようなロングライドはLAVAREDを使い分けていて、恐らく路面の安定性が必要でアタックなどでダンシングなど高出力を出すレースには525が向いていて、ストップアンドゴーよりシッティングで長い時間効率良く走るのはLAVAREDOというチョイスなんだと思います。

このように自分がパワー型でガシガシとダンシングで踏むタイプであればダウンチューブの剛性を考慮し、シッティングでトータルに速くというのであれば極端な加工がされていないフレームのチョイスが良いのではないかと思います。

ここまで書いて、やっぱりTARMACって速いんだなぁ・・・という気持ちになってきました。

できれば試乗をする

結局のところ、自分がどういった走り方をするかによって変わってきますし、何に楽しさや心地よさを感じるかも違ってくるので選び方は変わってくるかと思います。

そしてやっぱりどんなに短い距離だとしても試乗は絶対に大事です。

ただ無暗に試乗をしても、試乗車は良いホイールを履いているなどで後日完成車を買ったら全く印象が違って困惑した・・・なんてことが有り得るので、フレーム形状からコンセプトや期待する効能を想像し、実際に期待する内容なのかを試乗して確認するのが良いと思っています。

そして、その際はホイールの剛性なども考慮することで本当に自分が気に入る自転車なのかを検討する助けになるんだと思います。