自転車などの小売店こそアンバサダー制を採用すると面白いと思った話
前々からアンバサダーという制度?概念?はメーカーじゃなくて小売店がやるのが良いのでは?と思ってたところがありました。
少し前にインフルエンサーのアクションの効果が気になったり、コロナの自粛が重なって自転車屋さん大丈夫かなぁ?と気になったので自転車業界に置き換えて考えてみました。
まぁファクトをそんなに見つけられなかったので、ほぼ空想で、いずれにしても暇つぶしとして読んで貰うのが良いかと思います。
自転車業界の雰囲気
これは私が勝手に感じていることかもしれませんが、自転車業界にはどんよりとして梅雨の曇り空のような気持ち悪い空気がずっとあるように思っていました。今は自転車屋さんとつながりができたり、友達ができたりして少し変わりましたが、変わったらまた違う曇り空が見えた気がします。
業界規模の大きさ
その曇り空の最も大きな原因は業界自体が小さすぎるせいなのかなと思います。業界自体の市場規模は計算している訳ではないのですが、こんなデータもあります。
このデータを鵜呑みにするのであれば、国内での規模は1200~1300億円程度だそうです。
本当かなぁ?と思ったけど、同年のシマノの決算情報を見ると国内売上が94億円とのことなので、規模が小さいということだけは確信が持てました。(海外は2900億くらい)
・・・規模が小さい小売りは、大きく利益がでないことからチャレンジがしにくいということに繋がるのかなと。
メーカーですらこうなので、一般客と対面する小売店は余計に小さい金額で戦っていくことになるかと思います。在庫を抱えるリスクが非常に高く、それ故に販売にはシビアになります。
余談ですが「もうちょっと安くできないの?」と言ってくる客に店舗側がピリピリする理由も何となく想像がしやすいように思います。
メーカーと販売店、問屋の関係
市場規模と間接的に関係する話ですが、メーカーと販売店の関係があんまり良く無い気もします。メーカーとはSHIMANO、SPECIALIZED、TERK、GIANT、ブリヂストンや海外メーカーの日本代理店となるところ。
低関与商材(低価格商品に多い)と言われる例えば食品などは、メーカーの立場はそれほど強くもなく人気商品を直販などしようもんなら、小売りが怒って取り扱いをやめてしまうため直販ではメイン商品は売らないという力関係があったりします。
しかし、スポーツ自転車のような高関与商材は自動車のディーラーのような考え方もあるのでメーカー側が強い場合もあり、また代理店が自転車自体の知見がなく、小売店にとってはストレスになる場合もあるようです。
パーツの問屋はメーカーのような立場に見えますが、こちらは小売店同様に苦しい立場にありつつ、板挟みになっているところもあるように見えます。
こういったしがらみで、想像が膨らみ、小さな幸福より1回の不幸が大きくなって悲観的になり、業界全体にギスギスした雰囲気が漂っているんじゃないかな~と。
・・・推測してました。
小売店の良い状態とは
前提条件として私の推測を書きましたが、要するに自転車業界はとにかく「騙されることを恐れていて、チャレンジはしたくない業界」なのだと思っています。その大きな理由は2つ!
- 騙されて金を失いたくない。マジで露頭に迷う!
- 失敗して馬鹿にされたくない!尊厳まで失ったら業界に居る意味ない!趣味にするわ!
ということ?と想像しています。推測ですが、私だったらそう思うだろうなと。
失敗をする余裕がなく、また失敗をたたえる文化ができにくいようにも感じます。
効率良く客を回して離れにくいサイクルを作る
小売店の販売サイクルに目を向けると、良い状態というのは他で買わずに店舗で買い、メンテナンスなども時々やる客かと思います。商品に対しての質問をしても、Amazonで買ったら悪いしという常識的なモラルを大事にする客の囲い込みを行うことです。
こういう客を増やすには、一番可能性として高いのは人づての紹介や口コミかと思います。口コミの客というのは一見さんとは違って事前情報を持って来るので人となりがある程度ちゃんとしたふるいにかけられた状態です。
こういったお客さんを捕まえて離さないようにするというのが大事なのかと思います。
もし暫く来ない時期が続いても、紹介者から様子を聞きだしたりと、わざわざこっちから連絡しなくても状況が分かりやすくなりますし。
小規模店や個人店が「効率」という言葉を嫌いなことは何となく想像しています。ただ、やっぱり一見さんを集めて苦労するより、「質の良いお客」をなるべく効率良く捕まえて大事に仕事をすることがハッピーになれると思うのです。
質の良いとは、「金払いが良い」ということもあるとは思いますが「話ができる客」というところかと思っています。やっぱりそう考えると、第三者の紹介と口コミが一番じゃないかと思うんです。
SNSでの拡散がどうとかもありますが、もっと確実な口コミは今の時代だからこその強みがあるように思います。
自転車小売店こそアンバサダー制度を導入すべき
ながなが書いてきました結論を言うと、冒頭に書いた通り自転車小売店こそアンバサダー制度を試してみたら良いんじゃないかと思うんです。
アンバサダー制度と言うのは事業会社側、この場合は自転車屋さんですが特定のお客さんにファンの代表(アンバサダー)になって貰い、積極的に宣伝活動をしてもらうという考え方です。
宣伝活動とは主に口コミで友人を紹介して貰ったり、BlogやSNSで紹介してもらったりすることを言います。
インフルエンサーとの違いとアンバサダーが良い訳
ここまで読んで「有名なYoutuberやSNSで人気の人にお金払うんでしょ?」と思う人が居るでしょうがそれは違います。それはインフルエンサーと言われる人達で、インフルエンサーというのは既に数千から数万のファンが付いている人に金銭などの報酬を支払って、その代わりに指定した内容で紹介をして貰うという広告に近い考え方です。しかも広告だから単発。(広告用語でいうとimpressionを増やす施策に近い)
しかし、アンバサダーはインフルエンサーと違ってお店のファン代表のような存在です。なのでアンバサダーの主観で動いてくれるし金銭の授受が発生せず、関係が壊れなければ継続していく特徴があります。そのため店の経営的にはダメージが少なく、自身で宣伝活動をする肉体的な体力も少なくて済むためメリットはあると思います。
もうちょっと言うと、インフルエンサーよりも断然自然かなと・・・
自転車界隈のアンバサダー的な成功事例
こういった金銭の授受が無い関係がここのところ自転車業界ではうまく行っているように感じています。
代表的なところでは、もともと有名なお店ですがAbove Bike Storeさんでは宮澤崇史さんが自転車を買って紹介したことで敷居が下がりつつ店への信頼と憧れが増したかと思います。
また新しいお店のようですがLiberty Bikesさんは、Youtuberのけんたさんの友人のようで、店名を使った露骨な紹介がない状況なのに面白そうで、何だか行ってみたい気分になります。
おそらくお願いされたからではなくこのお二人はお店と良い関係を築けていて自発的に情報発信をされ、間接的にお店の認知が上がりその影響で良い営業に繋がってるのではないかと思います。
まぁ、大変有名な人達なので参考になりにくいかもですが、もう少し身近な例として、手前味噌ですけどうちの夫婦なんかはそんなに有名じゃないですが、お世話になっているSPIRITOというバイクショップも実はPちゃんの記事を見て来てくれる人がそこそこいるとのことでした。
お世話になっているお店の役に立てることは、良いと思っているものを褒められているようでもあり、お世話になっている既に友人のような関係に役立てることも、我々としてとても嬉しいことです。
私達夫婦以外にはエビデンスは無いですが、おそらくこれらの例には金銭授受は発生していないと思いますし、アンバサダー制度を取っている訳ではありません。でも、効果がある、、、であれば、意図的にこういった関係を作る、要するにアンバサダー制度を取り入れてみるのは面白いのではないかと言うことです。
ここで紹介した人は何より「金のにおいがしない関係」なのがとても見ていて気持ちが良いと思います。(というか客が喜んで店に金払ってる)
目指すべき自転車屋の在り方とアンバサダーの関係
じゃぁ誰をアンバサダーにすれば良いのかというところですが、インフルエンサーとは違うと書いた通り、知名度を利用して多くの人に自分の店を知ってもらうのが目的ではありません。
個人的に想像している自転車小売店の目指す在り方は、1回こっきりの単発で終わるお客さんを集めるのではなく、先にも書いた通り継続した関係性を持つお客さんを少しずつ増やしていくことじゃないかと思っています。
要するにインフルエンサーのような知名度が高い有名人を使って1回こっきり単発で多くの人に伝えるのではなく、数は多くなくて良いのでお店と関係性がある人・・・もっと言うと「友人関係」にある人が良いんじゃないかと思います。
1回こっきりじゃなくて、何か良いことがあったら、友達を自慢するかのように伝えて貰うことが重要で、外から見ても店と友好的にあるという関係性が見えるのが良いと思います。
これがアンバサダーの概念にあっていると思いました。
グループでアンバサダーになってもらい、コミュニティに参加する
今までは自転車屋を中心に会員化などでコミュニティを作って、そのコミュニティを大きくするような考え方が一般的だったと思います。
しかし、今はコミュニティを作ることは最低限必要ですが大きくしようと考えるのは逆効果だと感じています。(趣味嗜好が細分化され、小規模のコミュニティが点在するようになったため際限がない)
結論を言うと、自転車サークルなのかアウトドアサークルなのかお店とラインナップと相性の良いグループを探してグループ単位でアンバサダーになってもらうのが良いかと思います。これは私のイメージですが、グループに自転車屋さんが参加する印象です。「実は〇〇という自転車屋さんでして、よろしくお願いします」的な。
そして、自転車屋さんはもともと会員向けに、自転車を買ってくれた人向けの会員価格などがあると思いますが、アンバサダーにはそういった会員価格でサービスを提供したり、これはちょっとユーザー目線すぎるかもしれませんが海外通販での購入のホイールのメンテも受付するなどの特典にするととても強力になるんじゃないかと思います。
実際に、3年前からこういったことをやっているお店がありました。中古ジャージなどでおなじみのビチアモーレさんです。
目指すのはグループ同士のつながりで人を増やし複数の小さな収入源を確保すること
現代は趣味嗜好や人のつながりが細分化されていると言われているので、複数のコミュニティに属していることが非常に多いです。
自転車乗りは職業や収入の幅が広く、例えばトライアスロンをやっている人はたいてい他の趣味や仕事などのコミュニティにも属していて、そこからまたトライアスロンに引っ張ってくるような関係性があることが想像できます。
このように、グループのメンバーが他の様々なコミュニティにも別々に属して居ることが理想で、様々なコミュニティがうっすら重なり合っている関係を作っていくのが理想的だと考えています。
自身のコミュニティの中に人を増やして囲い込むのは自転車のみのコミュニティのため広がりが無く閉鎖的になりがちですが、外のコミュニティと繋げていくことを考えることで、自転車以外の繋がりができ、更に自身で作るよりも効率良く切れない関係が構築でき管理もやらないメリットがあります。
その切れない関係を維持し、小さな収入源を幾つも抱えてルーチンとして回す。まとまったお金もかけず肉体的ななるべく最小限にして、徐々に増やして途切れないようにしていくのが良いのかなと。
毎月は来ないかも知れないけど2ヶ月に1回くらい来てくれる客を人のつながりを使って切れないように作っていく。そうやってある程度のベースの収益を確保しつつ、新たな顧客には新車を販売するなどプラスして収益を上げて毎月のコストを稼いでいくというのが理想的だと思います。
そんなの分かっとるワイ!という声が聞こえたような気がしました。
導入について
もし「それは良いかも!?」と思ってくれた自転車屋さんがいたら、どうやって始めたら良いか。Webサイトで募集をしたりしてもそもそも知名度が高くないと集まらないと思うし、もしWeb経由で応募が来ても相手のことも知らないのでお願いがしにくいと思います。
なので、お店に来ている信用できるお客さんでサークルのようなグループ(チーム)がいたら、直接相談をしてみるのが良いんじゃないかと思います。
実際に、自転車屋難民は居ると思うので、サークルがアンバサダーに指定されていればサークル自体も人を誘う材料になるし、自転車屋側も走行会を考えたり、顧客管理をする必要が薄れます。
相手が乗ってきたときのために先にアンバサダーになってもらった時の特典を想定しておくのが良いと思います。
あとがき
どうですかね?アンバサダー。
いまは非公開にしていますが、2年前だったかに当Blogで自転車屋さんに対して当Blogと組んで情報発信をしないか?と呼びかけるエントリーを書いたことがあります。
反応がなかったのと、私があまりBlogを書かなくなったのでエントリーを非公開にしたのですが、最近やはり同じような手段が有効なんじゃないかと思ったので、今回改めて記事を書くことにしました。
まぁ自転車業界は実際に小売りを含め、多方面に知識が豊富な人がかなり居る印象です。ですので、まぁそんなこたぁ分かってるんだよという感じかもしれません。勿論私は蚊帳の外の人間ですからね。
ただ、私はこういったことを考えたり、書いたり、手伝ったりするのがライフワークのようなところがあります。仕事柄、何か成功事例が作れるというのは非常に強い武器になるんですが、それ以外にも友人関係ができることが個人的には非常に大きいです。
Pちゃんと一緒に色んな展示をしたり、して貰ったり、作品を作ったり、雑誌の人と喋ったり、そういうことを通じて様々な文化や苦労を知るのが純粋に楽しいです。
いい歳になると、無条件で友達というのはあんまり求めなくなります。時間が勿体ないし結構疲れる。なので、人の役に立ったり必要とされたり、何かを間に挟んだ関係性という方が楽しいし居心地が良かったりするんですよね(笑)
終