妻のロードバイク フィッティングについていった話

2017/10/08自転車ショップ紹介,ポジション,快適

前回に引き続き、浅草にあるSPIRITO(スピリート)さんに伺った話で今回はちゃんPが受けたフィッティングについて。

残念ですが、2022年9月にSPIRITO(スピリート)は閉店してしまいました。

結論から言うとフィッティングのビフォーアフターとして、、、鹿野山での登りのタイムが相当早くなりました。マジかよ!詳細は最後に。

ちゃんPのBlogでもフィッティングの様子が書いてあるので、そちらもご覧ください。

参考:今回お世話になった バイクショップ スピリートさん

SPIRITOさんのバイクフィッティングの概要

SPIRITOさんのフィッティングですが、一般的にあるフィッティングと同様かと思います。SPECIALIZEDのは知りませんがTREKがやっているようなハイテク機器を使うようなものではなく、非常にアナログな手法でやっていきます。

ただ、かなり丁寧だと思いました。正直、手間と比較してお店の利益が見合ってない!と思いました。そこについては後ほど。

SPIRITOさんのフィッティング手順

良くある流れだとは思いますが、体験レポとしてざっくり整理です。

  1. 健康診断の時の身長を測るような器具で、身体計測を行う
  2. メジャーを使って肩幅、手の長さなどを測定する
  3. 体のデータから理論値を算出する
  4. シューズの正しいクリートの位置を調整する
  5. 定規と分度器が1つになったような器具でサドルのセッティングを決める
  6. 肩関節の堅さと体幹の強さを考慮して、ハンドルの高さとステムの長さを決める

という感じでした。写真を撮っていたのでそのタイムスタンプを見ますと実に3時間やっていたことがわかりました。これだけの工程があるので3時間かかるのは納得ではありますが、3時間ですからね。

フィッティングの詳細

見出しを書きながら沿って書いていくと難しいので、無視してあったことを時系列に書いていきたいと思いますw

フィッティングを考えている人はどういうことをやるのか、効果があるのか、自分でやっていたレベルでポジションは出せるのか、やっぱりプロに頼むと違うのか。

そういうことを考えていると思うんですよね。なのでその辺の判断ができるようになるべく細かく書いていきたいと思います。

身体計測と理論値の算出

健康診断の身長を測るような器具やメジャーで体のサイジングを行います。

まずは身長を測ります。慎重は身体計測のままですね。

骨格の計測

その後、股下を計ります。股下は見たことある人も多いと思うのですが、棒の上をまたいで測ります。

今更ですが、SPIRITOのSさんに顔出しの許可貰ってないので黒塗りにしてあります m(_ _)m

踵が本当に若干だけ浮くくらいで測っていました。自転車のセッティングは5mm変更するとかなり違ってくるので、こういった細かい計測が非常に重要だと思います。

かかとこのくらい

「もうちょっと上げます!あ、ちょっと上げすぎ・・・あ、下げす・・その辺りです」みたいな感じでやっていました。

そして肩幅と、腕の長さを測ります。肩は骨の位置を確かめたりして測っていました。

この測定値をパソコンのソフトになにやら入力すると値が出てくるみたいです。この辺は私が以前受けたSHIMANOのBikeFittingと同じかと思います。

たぶん、ソフトに自転車のデータが入っていて身体測定の値を元に自転車のセッティングが出てくる感じじゃないかと思います。

クリート位置の調整

並行して後ほどクリートの位置を調整するために、シューズにビニールテープを貼り、そこに印をつける下準備をしていきます。

シューズに白いビニールテープを貼り、写真のように印をつけていきます。

クリート位置を出すためのおまじない

確か親指の付け根と人差し指の付け根あたりに1箇所、そして親指側の側面の出っ張り部分に1箇所マークをします。

この2点を元にクリート位置をセッティングします。

どうやってセッティングするかと言うと・・・「企業秘密」とのことですw

定規と分度器が一緒になった器具で微調整をかけていく

ローラー台に自転車をセットして、理論値に自転車をセッティングしていきます。

セッティングについてはレーザーをあてて、先の理論値に対して厳密にセッティングしていきます。(なぜだかSPIRITO Sさんの表情はなんか楽しそうだった)

セッティングが終わったら実際にサドルに座って微調整をかけていきます。

ペダリング時の下死点と上死点での膝関節の曲がり具合などを定規と分度器が一緒になった器具で確認して、サドルの前後位置なども調整していきます。

定規と分度器が一緒になった器具で調整

フィッティングでググると良く見るあの器具なのでちょっとテンション上がりますよねw

ペダリングをしながら調整

サドルの前後位置に関しては、レーザーを横から当てて足を3時9時(水平)実際にペダリングをし脚の動きを見ながら複数回に渡って修正をしていきます。

たまーにネットで見る糸に5円玉を付けて膝から垂直に落としてペダルとの位置関係を確認するようなのがありますがあれをもっと効率の良いレーザーで測定します。

レーザーを当てながらサドルの位置を調整

初心者と言うか3年やってる私でも分からないことなのですが「サドルの座る位置」、これどこだか分かんなくないですか?

そういった座る位置についてもアドバイスを貰いつつ、サドルの前後位置を合わせていきます。

サドル位置が決まったら今度はレーザーを前側に置き、ペダリング時に足がまっすぐ落とせているか(膝が左右にぶれていないか)をチェックしていきます。

膝がどうしても曲がってガニ股、もしくは内股になってしまう・・・などある場合は、靴底にうすーいシムを入れて調整します。このシムもフィッティングで調べていくと結構出てくると思います。

ガニ股を修正するシム

足関節の癖が強くてどうしても膝が一直線に上下に動かない人はこういったシムを付けて強制的に調整してしまうのもありですよね。

ハンドル位置を決める

サドルの位置が決まったら仕上げにハンドルの位置を決めます。

ハンドルの位置は体格が絶対ではなかった

普段、ポジション出しをしてる時にハンドルが遠く感じた時、原因は自分の体幹ができていないとか、乗り方が身に付いていないからとか考えたことありますよね?

なので、数字から出た理想のポジションに合わせてハンドルが遠くてもステムを短くするのは良くないとか、そんなこと思った人いませんかね?・・・私がそうでして、なのでステムを短くするという行為に非常に罪悪感というか敗北感のようなものを感じていました。

・・・が、サドルを中心にポジション出しを考えて居るので、ステムを短くするのは当たり前なんだそうです。

ちなみに、日本人の骨格は外国人に比べて大腿骨が長いんだそうで、外国人向けに作られたシートが立っている(シートアングルが高い)ジオメトリは日本人にはあっていないんだそうです。

日本人の標準的な体格で言うと、シートを一番後ろに下げても足りないらしく、セットバック(オフセット)の入ったシートポストを使うのが良かったりするみたいです。

ここからは私の推測ですが、サドルを欧米人基準よりも後ろに下げているのでステムが理論値より短くなくては合わないらしく、また日本人は欧米人に比べて腕が短いので100mmなど無理して使わなくても良いようです。

ですので、このセットバックさせたサドル位置を基準にステムの長さの理論値を出すのが良いのではと見ていて感じました。

ハンドルの位置(角度)は体幹で決める

いよいよハンドル位置ですが、2つの基準でハンドル位置を調整していました。

1つ目はちゃんPの漫画にもありましたが、肩関節の柔らかさを見る。そして、もう一つが体幹の強さでした。

今日一番の真剣な表情

肩関節の柔らかさは単純に人は肩関節の可動範囲が決まっているので、その固さを見ていました。左右の手のひらと肘を付けて上の方に持ち上げますが、上がれば上がるほど柔らかいです。この関節が固い人はハンドルに対して無理して腕を伸ばさせないだとかでしょうか。

そして、もう一つは体幹の強さで、徐々に状態を倒していきどのくらい体幹が使えるかを見て、その時の上半身の前傾具合に合わせてハンドルの距離と角度を決定します。

上半身が倒れてこないように支えてもらいながら、体幹の強さを見る

骨格からの計算だけで決めるのではなく、実際に今の状況に合う位置を見てくれるのは良いと思います。

もちろん、疲れてくると状態を起こしてしまおうとするので、理想のポジションから外れてしまう訳ですが、疲れていない時の体幹の強さを見ることで良い状況に合わせてセッティングをしていました。

あとは、ヒアリングをしながら微調整をする感じで、良さそうなステムの長さを提案してくれます。

ハンドル位置を測定するための可変ステム

ちなみに、こんな器具を使って調度良い位置を測定します。可変ステムと言うか。便利だなぁ。

ハンドル市が決まったらステムに付け替えて終了

ステムは確かDIXNAのハンドルが10mmだったか5mmだったか刻みで揃ってて、メーカーにこだわりが無ければその場で交換可能でした。

ハンドルの位置を測る器具から本来のステムに取り換え、ハンドルの傾きを調整してフィッティングは終了です。

マガタマシートポストを移植

サドルの後退幅が足りなかったので、多少セットバックのついている私のマガタマシートポストを一時的に移植。もっと下げた方が良いみたいで3.5cmオフセットのシートポストを検討中です。

フィッティングの効果について

冒頭に書いたフィッティングの効果ですが、登りの練習をしている鹿野山に行ったところ、26分かかっていたところが24分で登るという驚異的な結果がでましたw

そして、フィッティングから2か月ほどたった現在ですが、何と平地巡行のスピードがかなり速くなりました。

ここでいう巡航ってのはアベレージのことではなく車や信号に邪魔されない間だけのスムーズに走れている時の速度のことですが、以前は25kmくらいだと10分も走れば疲れてしまっていたのですが、いまは25km~30kmオーバーくらいで走ってることが普通になってきています。

以前はどこかに走りに行くときは基本的には20kmくらいの巡航スピードでしたが、いまはだいぶスムーズになり時間にもかなり余裕ができるようになりました。

これはかなり大きな変化です。

本人がここのところ、結構乗っているので成長しているのもあるとは思いますが、その成長の相乗効果としてこのフィッティングが生きているのは言うまでも無いかなと思います。

私も別のところでフィッティングを受けたことがありますが、ポジションが出ているか出ていないか自分だけで判断するのは難しいと思います。仮に出ていたとしても、出ているのか?と疑問に思っているのと専門家に見て貰って確信しているのとでは、心理的な迷いが無くその後の無駄な時間をかけなくて済むかと思います。

ということで、SPIRITOさんのフィッティングをざっと説明しましたが、充実していることが分かって貰えたかと思います。また、Sさんは元競技者だったのでただ技術的に詳しいだけではないところでの知見も非常にためになります。

まぁそんなお得なフィッティングサービスについて、Sさんに「これ、、、儲かんないですよねw」とド直球に聞いてみたら、「フィッティングでは儲からないですね(苦笑)」というようなことを言っていました。大丈夫なんでしょうかw

参考:今回お世話になった バイクショップ スピリートさん

一人でやられているショップさんなので、お願いする場合は予約をしてから行くのが確実です。