カーボンとアルミの違いを考えた
これからロードバイクを買おうとしている人、またはアルミバイクから初めてのカーボンへグレードアップを考えている人、悩みますよね~
私はアルミ買って、カーボン買って、またアルミ買いました(笑)
結論、200kmくらいじゃ違いは無い
たぶん、カーボンバイクを買おうとしてる人は、乗り心地や脚が売り切れとかが気になってるんじゃないかと思います。
結論から言うと、200km程度走るくらいじゃカーボンとアルミの違いなんてそんなに無いかと思います。
いや、人によっては違うって言うと思うんですけど、その原因が素材による違いなのかを考えた方が良いというお話です。
突き上げについて
乗り心地を意識してカーボンを検討している場合、少なくとも私がFOCUSのCULEBROからCAYOに乗り換えても、その違いは無かったです。
正直なところ、カーボンに乗り換えたのは乗り心地を期待してだった訳ですが、体感はほぼ変わりませんでした。
この場合の乗り心地というのは、路面の衝撃をどのくらい拾うかということが殆どで、手に対する突き上げです。
良く路面上のギャップに乗り上げた時の衝撃がソフトになるというような話を聞きますが、個人的な経験としてはチューブをブチルからラテックスに変えた時の方が効果は高かったように思います。
アルミでも突き上げが少ない車種も結構ある
例えばですが、CannondaleのCAADや、TREKのDomane ALのIsoSpeed搭載モデルなどはアルミでも突き上げが本当に少なく非常に乗り心地が良いバイクだと思います。
CAADに関してはトップチューブがホリゾンタル(水平)のとてもレーシーな見た目ですが、乗り味は非常にソフトで乗り心地が良いバイクという印象でした。
TREK DomaneはIsoSpeedという特殊な仕組みを使っていて、シートチューブがトップチューブと繋がっておらずサドルへのショックをフレーム全体でいなす構造になっています。ジオメトリも工夫はされていると思いますが、こういった独自のシステムを開発することにより他メーカーには無い性能を出しているものもあります。
フレームの設計をジオメトリと言いますが、幾つか乗っていってみると同じ素材なのに全然乗り心地が違うことが分かります。
まぁしかし、試乗レベルですがCannonaleのフレームはどのモデルにおいてもジオメトリとパイプ形状で振動や衝撃を吸収する工夫がされていると感じました。メーカーの特色かも知れません。
TREKは他のバイクは殆ど知らないので、同様の工夫はされていながらも更に個性を出すということもやっていると思います。
また分かりやすいところで言うと、エアロ形状のバイクは硬いと良く言われます。エアロバイクは空気抵抗を減らすために、フレームのパイプを前後に扁平をかけて薄くしているのですが、前後に薄くするということは上下に見ても同じ扁平ということですよね。
であれば、前後上下の剛性は自然と高まる傾向にあるということが想像できます。これがエアロが硬いといわれる理由なのではないかというところです。
踏み込みの反発
話は戻って私が乗っていたアルミバイクのCULEBROといま乗っているカーボンのCAYOでは、明らかに踏み込んだ時のペダルの反発は違いました。
CAYOは踏み込んだ時のしなりというかビヨーンとする感じがあるんですが、CULEBROは全くありませんでした。
これがカーボンのしなりかと言うと、最もレーシーなIZALCOは試乗した限りではしなりは無くてCULEBROと一緒な印象だったので、素材の違いではないかと思っています。
ロードバイクは、推進力はヘッドチューブ、ダウンチューブ、チェーンステーの3つに影響すると研究で分かっているそうで、これを鵜呑みにするならば、ヘッドチューブが短く、ダウンチューブは太く、チェーンステーが太くて直線であると剛性が高いのかな?なんて推測ができます。
特に踏み足に関して考えてみれば、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、チェーンステーはペダルを伝わってフレームに垂直方向への荷重がかかるのに対して、最も脆いのは水平方向に伸びるチェーンステーで、曲がりやすい(=しなりやすい)のは明白です。
ここの形状を見ればCULEBROやIZALCOは直線的で太く一定なのに対し、CAYOは湾曲し途中で細くなるという明らかにしなりやすい形状をしている訳で、これがビヨーンと感じる影響なのかも知れません。
また、CULEBROとCAYOでの大きな違いは、尻はどちらも痛くなるものの、腰が痛くなることは少なくサドルへの路面のショックは多少いなしているのかも知れません。
受け売りなのですが、サドルへの突き上げはシートチューブではなくシートステーの形状を見ると良いようです。シートステーが太くて丸くて直線的だと、俗に言う剛性が高くなるそうでサドルへの突き上げは大きくなり、非常に細かったり平べったく扁平されていたり外側に曲線を描く形状だと、しなって突き上げをいなしやすくなるそうです。
CULEBROのシートステーは細いのですが、丸い円柱をしていてIZALCOも同様の形をしています。それに対してCAYOは扁平に押しつぶされていて面白いことに、上下に手で握るとグニグニと凹みます。※力の加減ができないと押しつぶしてフレームをダメにしてしまうと思うのでやらない方が良いですが。
そのくらい弾力があります。
安いカーボンは悪いという謎
たまーに「安いカーボンバイクは質が悪いので、それならアルミの方が良いよ」なんてことを聞きます。
レース思考であるならばそういうこともあるのだと思いますが、正直なところホビー思考であれば気にすることは無いのかな?と思っています。
最高速の関係性
カーボンの特徴は、軽い素材で成型がしやすいところにあるそうで、成型がしやすいということは剛性の上げ下げを調整(コントロール)しやすいということに繋がるそうです。
そのため、カーボンバイクは特徴を極端に出しやすいのではないかと思います。
東京サンエスさんにボーダレスカーボンハンドルと言う複雑な形をしたハンドルがあるのですが、そのアルミ版であるニーザーハンドルという商品はカーボンよりかなり遅れて発売されました。
これは恐らくアルミの方が成形が難しいため、剛性を出しにくかったからなんだと思います。(という話を誰かに聞いた)
参考:ワイズロード 東大和店 こんな自由なハンドルは他に無い! 好きに使ってニーザーハンドル!
スポーツ思考の人がバイクを買い換えたとき「前のバイクは全力でも45km/hしか出なかったけど、新車は限界までいかなくても50km/hは出てたのでもう少しはいけると思う」というような話を聞いたことがあります。
どちらも価格はフレームだけで40万くらいするものだったと記憶しているのですが、これはメーカーによる性能云々ではなくコンセプトの違いであり、自由度が高いカーボンの整形により特徴が際立った結果なのではないか?と思っています。
コンセプトがとがったカーボンバイクとアルミバイク
勿論色々な要素が絡んで最高速に影響したと言うのはあるものの剛性が影響しているのだとすると、良く耳にする「踏んだら踏んだだけ進むアルミが良い」という理論は、アルミが良いのではなくアルミは基本的に剛性が高めになってしまうからなのではないかと推測しています。
整形のしにくさとアルミという金属の特徴から粘りやしなりは生まれにくいため、剛性を下げることもしやすいカーボンに対して、アルミはカーボンほど下げることができないのではと考えられます。
そのため、スポーツ思考の強い人が求める最高速や推進力は「安いカーボン(乗り心地重視で剛性が低めにしてあるバイク)を買うなら、(基本的に剛性が高めな)アルミバイクを買う方が良い(=スピード出るよ)」というお話になるのかなと。
カーボンからアルミに乗り換えて脚に負担が来るという人が居たら、勿論その通りカーボンとアルミの素材の違いがあるのかも知れません。
でも、もしかするとかなり特徴的な乗り心地のカーボンバイクに乗っていた場合、乗り心地がソフトとは言えある程度以上の剛性になってしまうアルミ素材のバイクに乗り換えたら、乗り方が全く違って脚に来る可能性はあるかも知れません。
アルミCULEBROからカーボンCAYOに乗り換えてみて
私はFOCUSの今は無きアルミのCULEBROから、カーボンのCAYOに乗り換えました。
乗り換えた理由は、試乗したときのフィット感、カーボンの見た目の美しさ、軽さによる影響、衝撃吸収性による乗り心地、カーボンのしなりによるロングライド時の疲労軽減です。
乗り換えて分かってきたアルミとカーボンの違い
明らかに違ったのは軽さ。輪行時は楽になりました。たぶん1kg未満の差だと思うのですが、すぐに分かる軽い印象がありました。
硬さについては書いてきたとおりで、IZALCOが硬いと言われるのは恐らくチェーンステーの剛性。CULEBROも同様に踏んだらガチッと跳ね返る感じはあるものの、IZALCOはCULEBROよりももっと硬い印象でした。ですので、アルミはある一定からはそれ以下に剛性を下げることが難しいだけで決してアルミバイク全てが高剛性という訳ではないと確信しています。
また振動吸収性についてですが、ホビーライダーというか私レベルの人間であれば、これもあまり問題ではないかと思っています。
いまのロードバイクは殆どがカーボンフォークが付いていて比較対象がありません。手が痺れるなどがあれば素材の問題ではなく、乗り方やバイク自体・・・例えばジオメトリなどの問題の方が大きいかなと思います。
CAYOはCULEBROに比べて登りやすさはあるかと思います。これはたぶん幾つかあって、しなり、若干ですが軽さ、そして一番大きいのがフレームによるポジションの差かと思います。
ということで、アルミとカーボンの違いはあまり感じませんでした。
FOCUSはCULEBRO、CAYO、IZALCOのどれを見ても他メーカーよりは前傾姿勢が深くなる傾向があるようで、また乗り心地などの配慮はあまりされていないように思えます。
アルミ→カーボン→アルミを購入
もともとアルミのCULEBROに乗っていて、その後CULEBROを手放しカーボンのCAYOに乗り換え。飛行機輪行や大型サドルバッグの使用などでクロモリが欲しくなり、結果的にアルミのSPECIALIZED DIVERGEを買いました。
何でまたアルミを買ったのか
クロモリを買いたいと思ったのが、飛行機輪行などでもある程度気楽に使えるという「道具的思考」が強いです。見た目も重要ではありますが、どちらかと言うと壊れないかなどの余計な心配はせずにガシガシ使ってしまえるための道具としての見方でした。
またアルミに戻るときの硬さやロングライドの疲労についてなど心配するところはありましたが、素材に関しての懸念はCAYOで少し意識して乗ってみたところ、ほぼほぼ無くなっていましたので迷いはなくなりました。
そして、乗り心地はタイヤの太さと空気圧の方が影響が大きいと言うところです。200kmを超えて300kmなど走るようであれば、私の体力への影響を考えなければいけませんが200kmくらいを楽しく走るのであればDIVERGEのような太めなタイヤをはけるタイプはストレス少なく走れそうだといったところです。
尻の痛みは乗り方でほぼ解消できる
尻の痛みは、良く言われる「時々立ちこぎする」とか「ギャップで腰を上げる」とかでほぼ解消できることが分かりました。あと「停止時は必ずサドルから腰を下ろす」とか。これはもう剛性が硬くてガチガチなロードバイクでも柔らかいロードバイクでも、これをやるかやらないかの方が影響が大きい気がします。
あとはサドルも重要だと思います。色々なサドルを使って来ましたが、私としては最も重要だったのはサドルの幅でした。意外に自分でははかれないものなので、お店の測定器具を使ってはかるのが一番良いです。私は135mmくらい坐骨幅があるらしいので、143mmのサドルでも小さいようです。
まぁ143mmでも、頻繁に腰を上げるように乗れば200kmでも全然大丈夫ですが、155mm幅のサドルが一番しっくりきます。
まとめ
ワイズロードなどの自転車屋さんのサイトで、良くレースからロングライドまでというような言葉を見ますが、ホビーライダークラスであれば、素材は関係なくレースもロングライドもできる訳です。
であれば、ライフスタイルで輪行が多めだから軽いカーボンを選ぶとか、飛行機輪行もするから少しでも丈夫なアルミにするとか。
勿論、はまる人ははまるだろうから、個人的には最初にアルミを買ってもいずれカーボンに行くだろうし、見た目を気にしないならアルミが良いかなと思います。おける場所が2台分あるなら、もしカーボンに買い替えても1台目を手放さないのが良いかなと思うのです。
まぁ、私は2台置いておきたいから引っ越ししました。
終