ロードバイクのディスクブレーキにコンポを換装してみて分かったリムブレーキとの違い

2022/02/28自転車メンテナンス,修理,海外通販

先日、愛車紹介の動画を出したばかりですが、いよいよディスクブレーキのロードバイクに本格的に乗ってみようかと思い、ELVES BIKEというメーカーのVANYARというフレームを購入しリムブレーキのコンポを換装したのでリムブレーキとの違いを中心にご紹介します。

初めてのディスクロード組み上げ!

どんなフレームを買ったかなど、フレームに関しての紹介はまた別の記事で!

コンポ載せ替えの概要

ロードバイクはフレームに取り付ける主要のパーツにギア変速やブレーキの操作をするSTIレバー、ペダルから動力を伝えるクランク、前と後ろの変速機となるフロントディレイラー、リアディレイラー、あとはブレーキがあります。

リムブレーキとディスクブレーキでコンポの構成は何が違うのか

今まではリムブレーキは大雑把に言うと1種類しかなかったのでブレーキの種類に他のコンポが影響を受ける(依存する)ことは無かったのですが、ディスクブレーキの場合は機械式と今では一般的になっている油圧式とに分かれ、ここで大きくコンポの構成が変わります。

具体的にはブレーキに関わる部分なので、STIレバーという部分が変わってきます。これ、分かっている人には簡単ですが、ロードバイクを始めたばかりの人にしてみるとかなりややこしいです。

フレーム ホイール ブレーキ STIレバー フロントディレイラー リアディレイラー クランク
ブレーキレバー 変速
リムブレーキ リムブレーキ用 リムブレーキ ワイヤー式(機械式) ワイヤー式(機械式) 共通
電動式
ディスクブレーキ ディスクブレーキ用 機械式ディスク ワイヤー式(機械式)
電動式
油圧式ディスク 油圧式 ワイヤー式(機械式)
電動式

黄色いセルを見てもらうと分かるのですが、、、と言いながら分かりにくいかもw

ディスクブレーキのことを調べるにしても、ホイールがそれぞれリムブレーキとディスクブレーキ用で必要なのはわかりやすいのですが、ディスクブレーキ用のブレーキ本体とSTIレバーがそれぞれ必要なことがちょっと分かりにくいかと思います。更にディレイラーがワイヤーと電動に分かれるのでというねじれた感じに・・・

リムブレーキユーザーがディスクブレーキモデルに移行しにくかった点

結論に近いところから言っていくと、今ロードバイクの主流は油圧式のディスクブレーキになっています。

油圧のディスクブレーキは車やオートバイに使われているブレーキの仕組みでメンテナンス性が悪いというデメリットがありながら、レバーの引きが軽いのにリムブレーキよりも制動力が高いというデメリットを上回る大きなメリットがあります。

一方で機械式のディスクブレーキはと言うと引きが重く油圧式はおろかリムブレーキと同等の性能を出すのも難しいというなかなかポジティブな選択肢にはなっていないもので、安価なモデルにアッセンブル(組付け)されているという扱いでした。

既存からのリムブレーキのユーザーは、ディスクブレーキ車を買う際に、大枚叩いて油圧ディスクのロードバイクを買うか、性能の低い機械式ディスクブレーキ車に乗り換えるか非常に悩ましい選択に迫られていました。

・・・ところが、そんな状況がEQUALというブランド(GROWTAC社)の機械式ディスクブレーキが発売されたことで一変しました。リムブレーキと同等の引きの軽さを実現しながら制動力はリムブレーキよりも高いという。

このブレーキの登場のおかげでリムブレーキモデルからの換装がしやすくなったのです。

ディスクブレーキ車を組んでみた時の手順

自転車を組む際に必ずこの手順で組む・・・というルールは無いと思います。効率を考えるとある程度はあると思いますが、経験値や考え方によって変わると思うのであくまで私がやっている手順の紹介です。

またこの記事の目的としては、リムブレーキから換装したい人がどういった作業の違いがあるかを把握することを目的としていますので、そもそも組んだことが無い人に組み方をお伝えするようなものではなく、作業説明は概要ですので細かいことはマニュアルや様々な書籍や情報収集をしてご自身で行うようにしてください。

組み上げるように少し余裕を持ってコラムをカット

まずは、コラムを組み上げるように少し余裕を持ってカットしました。もともとFOCUS CAYOに乗っているのでCAYOのホイール軸からコラムの先までをメジャーで測りカットしました。

VANYARの同梱品 BB、ヘッドパーツ、スルーアクスル、グロメットなど

カットした後はフレームに取り付け。最近のフレームはヘッドパーツが最初から同梱されていてCAYOも今回のVANYARも圧入では無いのでグリスを塗ってスコッとはめた程度の作業です。

フレームにフォークをつけたらハンドルをつけるまでは移動中の落下などを防ぐためにコラムスペーサーの上からタイラップで仮止め。その後、プレッシャーアンカーを取り付けてハンドルとSTIレバーを仮止めしました。

仮止めですが、ハンドルの角度とレバーの取り付け位置についてはややシビア目に見て取り付けています。あまりにいい加減過ぎるとこの後のワイヤーの長さにそこそこ影響が出てしまうためです。

ディスクブレーキ台座のフェイシング(面出し)

次にディスクブレーキ台座の面出しをします。ディスクブレーキは組み終わってどのくらいシビアかが初めて分かったんですが、取り付け位置が不安定だと明らかに調整が上手く行かないと思います。

写真1枚目を見ると前側(写真右側)の取り付け部分が後ろ側(写真左側)より低く、また手前に向かって傾斜が付いているのが分かります。それを写真2枚目の状態から写真3枚目の状態に削っていきます。

段差はあっても並行になるようにさえできれば後はスペーサーで調整ができます。詳しくは↓サイメンさんの動画にて。

ワイヤー系の組付けとカット

ワイヤーを「組付け」と呼ぶのはちょっと違和感があるのですがアウターケーシングをフレームに通していきます。これの目的は特にアウターの長さを出すためでワイヤーの長さが不適切だとシフトやブレーキの引きが重くなったり、ハンドルが最後まで切れなかったり、長すぎて邪魔だったりと色々な不都合が生まれます。

アウターの長さをなるべく正確に出すために、変速機(フロントディレイラー、リアディレイラー)とブレーキを仮止めで取り付けて合わせます。

アウターはそのままではハンドルやフレームを通すのが難しいので、もともとメーカーさんが通してくれていたライナー管にインナーワイヤーを通し、そこにアウターをかぶせる形でフレーム内に通していきます。

VANYARはBB取り付け前であればかなりフレーム内を通しやすいので、うっかりライナー管を抜いてしまっても恐らく問題はないかと思います。アウター受け(グロメット)を外してしまえば更に通しやすくなります。

今回、EQUAL(GROWTAC)のディスクレーキキャリパーを導入したんですが、もともと専用のアウターケーシングが入っていたのですがブレーキの効きを増すために固く作ってあるとしてもちょっと固すぎだったので、フロントは柔らかい方のアウターを使用し、リアに関しては長さが足りなかったのでニッセンケーブルのアウターを別で購入して使いました。

また、写真2枚目は台座に直接ブレーキキャリパーを取り付けていますが、ディスクローターが140mmの場合はこれで良く今回の私のように160mmを使う場合は別途アダプタが要ります。ただ、シマノのアダプタだとボルトが特殊で先端をカットするひと手間がかかるため、EQUALのディスクキャリパーを使う場合はアダプタはシマノ以外のテクトロ(TRP)などを買うことをオススメします。安いし。

ちなみに、VANYARで使われているアウター受けはネットで画像検索をしたら中国か台湾のTWITTERというメーカーなどでも使われており、イタリアのボッテキアでも同じのが使われていて割とこういったパーツの入手性も悪く無さそうでした。

アウターケーシングを通す際に一番気を付けることはアウターを通すために入れたインナーを抜き忘れてしまうことかと思います。このミスをしたことは無いですが、ハンドルを左右に切ったりし長さを見るにはアウターだけだとなかなか難しくインナーを入れたまま作業をすることになるので、最後にカットする際はちゃんと抜き忘れに注意しましょうと・・・

ちなみに、シフトワイヤーに関してはアウターはフレームの入口でアウターキャップをつけてアウター受けで固定しています。ブレーキに関してはアウターキャップは使わずアウターケーシングのままフレーム内を通すフルアウターの状態になっています。

バーテープを巻く前でもビニールテープで実際に近い状態にする

アウターがズレないようにハンドルとアウターワイヤーをかなり大げさな感じでビニールテープで固定します。ハンドル周りはバーテープをまかないとアウターが実際より短いルートを通ってしまい後で長さが足りないといったことが起こりがちなので、なるべくバーテープを巻いた状態と同じようにビニールテープで仮止めしています。

インナーワイヤーを仮止め

アウターの長さが決まってカットし終わったら改めてインナーワイヤーを入れます。

BB下のガイド FDのみライナー管を通してます

BBの下から一瞬外にワイヤーが出るのですが、その部分にはワイヤーがズレたりしないようにプラっぽい素材でのガイドがはめられています。ここにライナー管を通すのが最近の主流のようなのですが、私はフロントディレイラー側だけライナー管を通しています。

インナーワイヤーは先っぽがフレームに触れると傷ができてしまうので輪っかにしたりして邪魔にならないようにしました。ブレーキは仮止めしても良いですが、ディレイラーはまだインナーは止めない方が良いです。

ホイールの準備

このタイミングで場所を取るから後回しにしていたホイールにタイヤを履かせ、リアにはスプロケを組付けました。

スプロケは使いまわしですが、チェーンルブにはコーティングタイプのものを使うのでスプロケも出来る限りは脱脂。

ホイールのハブは初めてのディスク且つDT Swissで勝手がわかりませんでしたが、前後ともに内セレーションタイプの160mmのディスクローターを取り付けました。

BB取り付けとディレイラーの組付け

インナーワイヤーをフレーム内に通し終わったらBBを組付けてクランクを入れます。

クランクを入れたらフロントディレイラー(FD)にチェーンキャッチャーを仮止めした後にフロントディレイラーの基本位置を決めて組付け。

チェーンキャッチャーは過去に乗ってたBASSOで使ったことがあるのですが、1度もチェーン落ちしなかったので、電動式ではなく機械式を使っている人にはマストなアイテムだと思っています。4000円くらいはするものなのでなかなか財布の事情的にためらう買い物なのですがBB周りを傷付ける心配から解放されると思うと絶対に買いです。調整できるタイプだと扱いやすくておすすめです。

リアホイールを取り付けたらリアディレイラー(RD)を組付けしチェーンを張ります。今回初めてアンプルピンではなくミッシングリンクを使ったので1リンク間違えましたw

チェーンを張ったらFDとRDにインナーワイヤーを通し調整をして本締めしたらインナーワイヤーをカットして変速系は完成。

写真のFDはチェーンリングとの間隔が短すぎるのでこの後少し調整し直しました。

ハンドル周りを本締めしてバーテープを巻く

フロントホイールもはめて跨ってみて、ハンドルの角度やSTIレバーの位置を調整し本締め。この時、特にブレーキ周りで大きく余ったりしないか念のためアウターケーシングの動きをチェック。

特に問題が無ければバーテープを巻きます。

ディスクブレーキの組付け

ディスクブレーキキャリパーをマニュアルを見ながら調整し本締めをします。

基本的に自転車はメーカーのマニュアルが一番信頼できると思っていますが、GROWTACに関してはマニュアルの他に公式が出しているネットの動画やBlogで補完するのがベターだと思います。

シートポストの取り付け

購入したVANYARはクランプがフレーム一体型で固定するタイプ。このタイプは初めてだったので構造を理解するのに結構時間がかかりました・・・

同梱品の中に滑り止め(表面がヤスリ状になっているシール)が付属していて、中を拭いた後に張り付け。念のためカーボンファイバーグリスを塗布しましたが、このシールのお陰で多分無くても大丈夫そうな雰囲気でした。

多分MTB用だと思うのですが、シートポストがかなり長いのでこちらもカット。

締め付けトルクが10~12Nmとの注意書きがありましたが、だいぶ怖かったので5Nmで締め付けました。締め付けが緩くて壊れたらどうしよう😅

アクセサリ関係を取り付けて完成

エンドキャップやボトルケージなど必須なモノから、バルブキャップやケーブルバイトなど見た目重視のものまでを取り付け。

これにて組み立て完了となりました。

ディスクブレーキのロードバイクを組んでみて

正直なところ、リムブレーキに比べるとかなり面倒くさかったのですが、ちゃんと整理するとそこまで工程としては増えてなく、ちゃんと思い返してみると作業で詰まった部分は知識不足な点が殆どだったので抑えておけばスムーズかもです。

主にディスクブレーキで増えた作業

リムブレーキを組む際に増えた部分ですが、当然ですがブレーキ周りです。

ディスクブレーキ台座のフェイシング

ディレイラーはリムでもディスクでも変わりがないですが、ブレーキはリムブレーキは取り付けられさえすればセンターを出したり、舟で角度を変えたりと調整幅がかなり広いですがディスクブレーキはこの調整幅がかなり狭くフレーム台座にとてつもなく依存します。

多分ここが一番面倒な部分です。まずやってくれる店を探すことが大事です。また精度が出てるか出て無いかの判断が難しいので自分のフレームが良いかどうかも分からないし、そもそもどうやって調整するものなのかも分からないという状況でしたので。

当記事の冒頭で紹介しているサイメンさんの動画の中で扱っていますので予備知識として持っておくと、お店に持ち込む時に相談がしやすいと思います。また持ち込む時はフレームだけでなくキャリパーも一緒に持って行った方が良いと思います。

ディスクブレーキキャリパー自体の調整

今回はEQUALのディスクブレーキキャリパーを使いまして、セッティングは非常に合理的でやり易かったのですがリムブレーキのシンプルさに比べるとやっぱりディスクブレーキというもの自体がかなり精密な作業だと感じます。

ただ、そもそもディスクブレーキが上手く調整された状態に確信がなかったので、今でこそコツを掴んだので納得感があると言うか結果的にかなり楽なものだと感じていますが、ブレーキの引き代の調整などがこれで良いのか?など最初は迷うところがありました。

EQUALのディスクブレーキキャリパー固有ですが、アウターケーシングのハードアウターという硬いものに関しては固すぎて、ここは最初からあきらめておけば良かったです。ブレーキ性能は相当上がるとは思いますが、ここまで固いのは私には無理でした😅

ホイール周りの問題

リムブレーキは基本的にはリアにスプロケを取り付けるくらいしか無いと思いますが、前後のホイールにディスクローターを取り付けないといけないという工程が1つ増えています。

また、ローターの種類も幾つかありロードバイクは基本的にはフロントは160mm、リアは140mmか160mmを取り付けます。160mmの大きな方が制動力が高いのですが、160mmを取り付けるためにはアダプタを買い足す必要があり、ローターとアダプタ・・・それぞれどれを買ったら良いのよ?と結構迷いました。結構高いし。

個人的には私はリアの制動に結構頼るので前後共に160mmにして大変満足しています。

用意したもの(購入したもの)

ということで、もともとFOCUS CAYOというロードバイクに乗っていたのでいくつかパーツを流用しましたが、一通り組み終わって流用できたパーツが分かったので、流用できたパーツと新規で買ったパーツを紹介します。(Googleにスパム扱いされているっぽいので、ブレーキ周りのみリンク貼ります。Amazonはタイミングによって価格が高騰している場合があるのでお気をつけください

流用可能なパーツ

  • STIレバー ST-R8000(ULTEGRA)
  • ハンドル PrimeBikeComponents エアロハンドルバー 380mm
  • ステム PNW Components 90mm(コラムスペーサー、ステムキャップ)
  • ボトルケージ LIBIQ カーボンコンポジットボトルケージ
  • チェーンキャッチャー FOURIERS チェーンキャッチャー
  • フロントディレイラー FD-R8000
  • リアディレイラー RD-R8000 GS
  • スプロケット CS-R8000 11-30T
  • シートポスト
  • サドル

新規で購入が必要だったパーツ

ディスクブレーキによって確実に追加された内容としては、やっぱりブレーキローターとフラットマウントアダプタくらいですかね〜

最後に

今回はメーカーさんから直接購入しましたが、もともとディスクブレーキのバイクを自分で組んでみたいという動機も50%くらいはありました。

なぜこのメーカーを選んだかといった理由などは別の購入記事でご紹介したいと思いますが、基本的には自分で組むのはおすすめしません。

私は以前リムブレーキのバイクを自分で組んだことがあるので今回は割とスムーズにいきましたが、どのメーカーで買っても自転車はメーカーの個性や個体差で何かしらちょっとした工夫が必要になるんじゃないかと思っています。

以前のリムブレーキの時も今回のディスクブレーキの時もちょっとドキドキするようなことがあり、どちらも解決するためにかなり時間を使って調べたりショップに助けて貰っていますので、最悪壊して乗れなくなってしまう危険性などを考えると、フレーム単体で欲しいバイクがあったら↓こういったお店を見つけて店舗を通して購入することをおすすめします。