フィジーク アリアンテ Versus EVOを買ってSPINE CONCEPTを考えた
サドル沼に絶賛ハマっています。
とは言え、また仮説が新たに湧いてきて、サドル沼が心地よいというか、楽しい遊び場にすら感じてきてしまいました(笑)
今日はその考えのきっかけとなったSPINE CONCEPTについて。
サドルの形状の盲点
まだ試していなかったサドルの形状に座面がラウンド形状のものが無く、「もうラウンドしかない!」と消去法でラウンド形状に絞ってサドルを探しました。
また、以前より絵陰部の圧迫に困っていたところもあったので、穴あきだけでなく更に対策を考えノーズが短いタイプを探したところ、条件に合うSelle SanMarco ショートフィットCというサドルを買いました。
ところが、これがあんまり合わなかったのです。サドルのベースは非常にしなるのに、まるで板の上に座っている印象。座面はラウンドなのに、なんでこんなにフラットに感じるんだろうと。
座面の形状の見るべき点は2か所
座面の形状はフラット、セミラウンド、ラウンドと3タイプに分けられることが多いですが、厳密に言うとこれだけだと若干足りないと思います。
もう1か所ラウンドしている場所を見る必要があります。ここがずっと盲点でした。それが座面からノーズ先端にかけてシェイプしている部分です。
この部分が前後から見てラウンドしているかどうかが関係していると気付きました。
シェイプ部分の形状違いが分かる代表的なサドル
ここの部分の形状はあまり話題に上がらないのですが、実はとても有名なサドルが主にこの違いでモデルを2種類出しているんです。
そのサドルの代表例その1がSelle SMPのCompositとForma。そもそもSelle SMPはCompositベースとFormaベースに大別されます。それぞれをベースに素材やクッション量にバリエーションを持たせたラインアップになっています。
2つのベースの特徴ですが、Compositは座面にくぼみがありますがシェイプされている部分が平面になっていて、対するFormaはシェイプ部分もなだらかな曲面になっているんですね。
もう1つの代表例その2はSpecialized POWERです。実はPOWERには2種類あって、無印のPOWERの後にアーチ(ARCH)を意味するPOWER ARCが発売されました。
このARCの大きな違いは無印と比較すると、シェイプ部分がなだらかな曲面になっているというところです。(実際に使っている人に教えて貰った)
Selle SMPの方はなかなかテストサドルを置いている自転車屋に出会えないかもですが、POWERはSpecializedのショップに行くと実物が見れるので、シェイプ部分の違いは見れるかと思います。(逆にその着眼点を持ってないと気づかない)
SanMarcoショートフィットCのシェイプ部分はなだらかでは無かった
先のSelle SanMarcoのショートフィットCは座面の最後部はラウンドなものの、シェイプ部分は急激なカーブになっていてなだらかではなかったと言うことがありました。
※細かいことですが、Selle SanMarcoのサドルは名前が分かりにくく、ショートフィットCとショートフィットと言うサドルが存在して特徴も全く違うので注意が必要です。またショートフィットCとコンコールは見た目は似てますが、これも特徴が違います。
この事に気づいてから座面もシェイプ部分もなだらかなラウンド形状のサドルを探し始めました。
※余談:ショートノーズのサドルは安定感が悪くなると言われています。乗った感触では分かりませんが、私はヨロヨロよろけることが多くなりました。最初は年が明けてからあまり乗っていなかった影響だと思ったのですが、過去に間が空いてペダリングがぎこちないことはあってもよろけるような経験はしたことが無かったので、恐らくショートノーズのサドルのせいでハンドルに加重がかかっていてハンドル操作が上手く出来てなかったのではないかと思います。
ただ、それ以外はペダリングがしやすく、股間の圧迫が無く、登坂時もストレスがあまりない面はかなり良かったです。
シェイプ部分がラウンド形状のサドルは全然ない
話を戻して、シェイプ部分がラウンド形状のサドルを探したのですが、これが全然見つかりません。
クラシックな見た目のSanMarcoのコンコールかブルックス CAMBIUMかという、、、しかもテストサドルがなかなか置いてません。
そんな中、見つけたのがまさかのフィジークアリアンテでした。
アリアンテは股間に優しいサドル
何を言ってるのか分からないかもしれませんが、アリアンテに乗ってみて穴空きサドルじゃなくても絵陰部(股間)が圧迫されないサドルがあることを知りました。
モデルや発売年で全く特徴が違うアリアンテ
最新のアリアンテを見てみると何とそれぞれ見た目が全然違っています。
そう言えば、スピリートさんにテストサドルあったよな?と思いだし借りることに。
が、1つ前の片落ちモデルで且つ穴空きは無し。
でも、どれも特徴は一緒でしょ!と2つ借りてみたら、何と形状が全く違います!後ろの反り上がりすら違う。
そして驚くことに、クッションの固さまで違うときました。
アリアンテは溝無しでも圧迫が少ない
そして実際にテストサドルを試してみると、何と溝ありより溝無しの方が全てにおいて快適という結果に。
これは発見でした。ウェーブ形状のサドルが座面場所を固定するためにウェーブ型をしているのかと思っていましたが、フィジークの場合はそうではなく骨盤の傾きに合わせて傾斜を作っていて、この形状と傾きのお陰で会陰部が圧迫されにくくなっているようです。
旧モデルのアリアンテだと、ちょうど圧迫される部分にエアポケットとでもいうような空間ができている感じでした。
SPINE CONCEPTとは
旧モデルのテストサドルを使わせてもらった結果、形状が似ていて溝まであることから新モデルのVersus EVOを買うことにしました。
・・・これがまぁまた完璧!という訳じゃないのでサドル沼はややこしいんですが、、、ただ、パッケージに入っていたSPINE CONCEPTというフィジークのサドルに関しての考え方みたいな冊子は、波紋も立たないはずのサドル沼にまた大きな波紋を起こしてくれました。
SPINE CONCEPTとは柔軟性とパワーウェイトレシオ
SPINE CONCEPTとはフィジークのサドル選びの考え方なのですが簡単に言うと「骨盤の傾き」で、サドルのタイプを選び、「パワーウェイトレシオ」でレギュラーかラージの座面の大きさを選ぶ考え方です。
詳しくは、日本の代理店 カワシマサイクルサプライさんのサイトをご覧ください。
フィジークの提唱するフィッティング理論「スパインコンセプト」が、身体の柔軟性に体重やパワーも加味して「スパインコンセプトEVO」として進化しました。(2018/1/18更新) | RIOGRANDE
体の柔軟性は脊柱であり、骨盤ではないという考え方
フィジークはスネーク、カメレオン、ブル(牛)と体の柔軟性でタイプ分けし、それぞれの柔軟性に合ったサドル形状を推薦しています。
しかし、この柔軟性を正確に理解しないと、結構な落とし穴になるように思えます。
恐らく多くの日本人は柔軟性と聞くと「股関節(骨盤)の柔軟性」と認識していて、ロードバイクで柔軟性がある人は股関節を前に倒して前傾姿勢で乗れてる人のことをイメージするのではないでしょうか。写真がまたその誤解を与えてしまうという・・・
ところが、フィジークの言う柔軟性は脊柱の柔らかさ(背骨が猫背に丸くなること)を言っており、むしろ体が硬い人(ブル)の方が骨盤は前に倒れているのです。
要するに日本人が意識しそうな「柔軟性がある人=骨盤が前傾している人」ほど、「=フィジークが考える一番体が硬い人」向けのモデルが合う訳です(笑)
私だけかも知りませんが、そりゃどうりで合わない訳だと。
パワーウェイトレシオでサイズを考える
良く「お尻が痛い」というと、特にスポーツ思考の人からは「走り込んで体が出来てくるとペダルなどに加重が分散されて痛くなくなる」と言われるんですが、これが一体いつのことだか分からないし、どのくらい走り込めば良いのか分からなくて私としてはうんざりしてしまうのですが、フィジークはその目安をパワーウェイトレシオで判別しています。
体が出来ていなくて、もしくは体重を支えるほどのパワーが無い人はサドル幅が広いものを選んで、お尻への加重を座面で分散しましょうという考え方です。
この目安をフィジークは公開していて、例えば体重75kgの人が30km/hで走り続けられる場合はレギュラーサイズ、それ以下のスピードであればラージサイズを選ぶとしています。
これをマトリクス(表)で公開しています。
これに照らし合わせると私は体重73kgなので、3時間くらいのライドであればずっとは無理でも30km/hを行ったりきたりできるのですが、6時間くらいのライドの場合は30km/hを確実に割ってくるので、ラージサイズが適していることになるのです。
アリアンテ Versus EVOのインプレ
で、旧モデルのテストサドルを使ったので、そもそも形状がそれなりに合っていることは確認済みなので、このSPINE CONCEPTの検証としては順序が逆なのですが、今のところこの理論は私には合致しています。
走っていない状況でサドルに座るとかなり当たっている感じがするものの、走り始めるとサドルに座っている感覚無くなり、70kmくらいになって疲れてくると痛くなり始める。昼食などを取り休憩後にまた走り始めると暫くは全く座っている感覚が無くなり、また疲れが出てくると痛くなってくる・・・
座るポジションは、基本的にはどの部分でもあまり変わらずフィットしているので、それで考えるとやはり座面の広さが足りない印象を持ちました。
補足ですが、表面はツルっとしているのに滑りにくい素材で前下がりのようなセッティングでもズレ落ちることがありません。そして、ノーズ部分は意外に太めなので前乗りも楽にできます。そのため、登りのストレスもあまり感じませんでした。
ちなみに、先日輪行して気付いたのですが、私の使っている輪行バッグはサドルを下にしてハンドルとサドルで支えるタイプなのですが、テールのプラスチックが若干削れました。
通常の輪行バッグはエンド金具とサドルのテールで自立すると思うので、Versus EVOの形状は確実にNGだと思います。ここは大きな弱点だと思います。
ひょっとして・・・
サドルの選び方について、個人的な見解を別記事でまとめているところなのですが、体が硬いと思っている人や股間の圧迫がキツイと思っている人はひょっとしたら、SPINE CONCEPTの考え方に則ってアリアンテのようなテールが反っているサドルを試してみても良いかも知れません。溝や穴は必ずしも必要ない物ですし。
この考え方に基づいて言えば、フィジークでなくても他メーカーの考え方にもしっくりきます。
例えばfabricは、前傾姿勢が深い人向けにFLAT、FLATを選ぶほどシリアスではない人はSHALLOW、カジュアルに乗りたい人にはRADIUSとなっていますが、ひょっとしてSPINE CONCEPTと同じように骨盤の傾きを考えたら骨盤が前傾している人(体が硬い人)にはRADIUSが向いているのかも知れないと・・・
過去にfabricのLINE SHALLOWを試してみて合わなかったのも、実は骨盤の傾きだったのか?などの疑問がしっくりと当てはまります。そして、fabricユーザーがLINEを使っている人があまり多くない印象なのも、実は溝なんて必要ない場合が多いのかも言しれないなぁと。
フィジーク Versus EVOを買ってみて、また色々と考えてしまいました。ちなみに、200kmであれば多少痛みがあるくらいで大きなストレスにはなりませんでした。
※商品リンク貼ってますが、Versus EVOはテストサドルが結構出回ってるので、なるべくテストしてから店での購入をおすすめします!
終