最初に買うロードバイク用のホイールは軽量ホイールかディープホイールか
ロードバイクを購入し、それなりに乗っている先輩(友達やTwitter上の方々)ができると「ホイールを買った方が良い」という話を聞くと思います。
どういったホイールを買おうかと調べていると最後の最後に迷うポイントとしては、軽さに拘ったリムハイトが低い(ロープロファイル)軽量ホイールか、軽さは多少捨てた見た目が特徴的なディープホイールかというところじゃないかと思います。
今日は軽量で有名なホイールであろうフルクラムレーシングゼロ、だいぶマイナーであろうディープリムのTOKEN resolute C55a、また手組みホイールも購入した経験から、この問題に向き合ってみようと思います。
ホイールは軽いことが命という誤った概念
ロードバイクのホイールについて情報を漁ると「ホイールは軽量であることが重要」という内容を良く見ると思います。
しかしながら幾つかのホイールを経験して、私は違う概念を持ちました。
重量を求めるほどの競技性を求めていない
答えから先に言います。
確かに軽いことは素晴らしいことです。ヒルクライムのレースを得意とし、バーテープの重さすら気にしている人なら、ホイールの軽さに拘る意味はあるでしょう。
しかし、ご安心ください。「坂を足付き無しで登れた」かどうかを考えているような人であれば、たかだか500g程度軽くなったところで登れないものが登れるようになりません。逆に言うと登れた人が登れなくなることもありません。

人それぞれ言い分はあると思います。しかしまぁ私はホイールの良し悪しは重量の軽さはあまり関係ないと思っています。
ホイールの違いって何?
最も分かりやすいホイールの違いはハブです。もう少し言うとハブの内部にあるベアリングです。これが全然違います。
簡単に言うと漕いでないのに進んでく。高級なセラミックベアリングとなると、まるで油がひいてある鉄板の上を滑っているような抵抗を感じない感覚。
ママチャリからはじめてスポーツバイクに乗り換えた時の「どこまでだって走れそう」というあの感動。安物の鉄下駄ホイールから高額ホイールに乗り換えると、それと同じような感動を得られます。
良いホイールはハブの性能が良く、平坦でも登りでも良く転がり、ライドの負担を軽減できるのです。
好きなホイールを買おう
ということで、私の結論。自分の気に入ったホイールを買うのが一番です。
そりゃまぁ10万以上、20万以上の高級ホイールを買えるなら軽さも空力も備えたものが良いですが、初めて買う場合はそう高いものは買えないでしょう。
ですから、平坦ばかりだからリムハイトが高いホイールにしないと、、、とか、山に行きたいからリムハイトが低い軽量ホイールにしないと、、、なんて固定概念は捨てて最初のホイールは好きなのを買って良いと思います。
ホイールによってどのくらいライドに影響があるか
私は1500gくらいのレーシングゼロを長い間はいていてロングライドをしていましたが、落車で壊れたので2000gくらいの手組ホイールと1800gのTOKEN C55aを買いました。
この3つであれば、200km3000upくらいを走っても特にどれも問題なく走ることができました。
要するに、先に書いた通り競技志向でなければ特にホイールのリムハイトなどあまり関係ない訳です。
200km3000upを殆どの状況下では問題なく走れるくらい性能について影響が出ないことを前提に、敢えてこの3つホイールの違いを言うとしたら、風の影響、乗り味、乗り心地かなと思います。
結果には関係ない走りへの影響
200km3000upでも10kmのヒルクライムだろうと、「完走できるか」という結果にはホイール形状の違いはなかった訳ですが、じゃあ全くどれも同じかと言うとちょっと違います。
持ってるホイールの印象を交えて紹介します。
風の影響
持ってるホイールの影響で言うとこれが一番大きいです。
最も大きいのは向かい風の影響。
レーゼロとTOKENはどちらもあまりわからない印象でした。
リムハイトの高いホイールはスピードに乗ると維持しやすく(巡航スピードが速い)、空力(空気抵抗)も効率が良いと言われます。実際に走っていると向かい風でもTOKENは巡航が楽なように感じますが、疲労が大幅に軽減されるほどは無く、プラシーボでは?と言われてしまうと言い返せない程度の、そこまで大きくは影響はないように思います。
それよりも明らかに違いを(悪い意味で)体感できたのは手組ホイールです。向かい風の影響を如実に感じました。ホイールの違いといえばズバリ、これはスポークの本数でしょう。
最近の完組みホイールはスポークが少なめなので完組を買うのであればあまり意識する必要はないかもですが、スポークの本数が影響することを理解しておいて損はないかと思います。スポークの太さも多少影響出ることは言うまでも無いですね。
また、リムハイトの高いホイールは横風について語られることがあるかと思います。この点についても明らかに影響があります。
例えばビルとビルの隙間を通りすぎたり、トラックが追い越していった後は横風に車体が振られることがあります。
リムハイトが27mmのレーゼロから55mmのTOKENに乗り換えた時は横風を受ける実感は確かにありました。
ただ、吹き飛ばされたり落車になるようなほどでは無かったです。(ライダーの体重の問題はあるかも)
これも特性を理解して、心構えや慣れの範囲かなと思うので、購入の意志決定に影響はしなくて良いかと思います。
レスポンス、乗り味
これは結構違います。フルクラムはカンパニョーロと同系列の会社でレーゼロは良くカンパニョーロのシャマルと同等に語られます。
しかし、スポークの組み方の違いによって固さ(剛性)が違いがあり、レーゼロの方が固く脚への負担が高く、シャマルの方が多少マイルドで優しいと言われます。
この固さがペダルを踏んだり回した時のレスポンス(反応の良さ)に繋がります。シャマルとの比較はしたことはないですが、カンパニョーロのホイールは反応がマイルドな分、その後の伸びがあると言います。
※ローディはこの「伸び」のことを「乗り味」と表現する傾向があると感じています。また踏んだ時の加速感を「かかりの良さ」などと言ったりします
では固いホイールの代表格の扱いをされているレーゼロはというと、踏んだと同時にラグが無く踏んだ分だけ加速する印象。
脚に負担がかかることが良く取立てされますが、個人的には踏んだと同時にバンッと反応するレスポンスの速さが、このホイールを軽く感じることにもなり、また面白さ、気持ち良いと感じる理由だと思っています。
それで言うと、TOKENは多少の伸びはあるものの気持ち良さではレーゼロより落ちるし、手組ホイールは更に伸びは感じない平凡な印象でした。
どれを自分が楽しいと感じるか。乗ってみないと分かりませんが、乗っていて楽しさを感じる点は個人的には重要だと感じます。
レーゼロをまたいつか買いたいと思うのは、このレスポンスの気持ち良さです。
乗り心地
これは個人的にはリムハイトやホイールの形状ではなく、リム幅で装着できるタイヤの種類やサイズによるものが大きいと思っています。
それで言うと、最近は17Cという広い幅のリム(ワイドリム)が主流になってきました。
私が使っていたレーゼロは15Cという狭いリム幅(ナローリム)で、TOKEN C55aも古いホイールのため同じく狭いリムで23cのタイヤを使っています。
一般的にタイヤ幅が狭いと空気圧を高めに設定し、タイヤ幅が広いと低めに設定します。(タイヤの性能を考慮した設定)
空気圧が高いとタイヤがパンパンに張った状態になり、段差のショックがダイレクトに腕や腰に伝わって痛みや不快感に繋がります。
しかし、手組ホイールは28cのタイヤを装着するワイドリムです。更に車のタイヤと同じ仕組みの中にチューブを入れないチューブレス(レディ)という仕組みで組んで貰っており、その2つの特徴から空気圧を低く設定できるため、乗り心地が格段に良くなっています。
レーゼロやTOKENが7bar(約100psi)に対して、手組は6bar(約80psi)程度で、どのくらい違うかと言うと、タイヤを親指で押せるか押せないかくらいの差があります。
いま販売されているホイールの主流はワイドリムになっていますが、まだまだ古いホイールでナローリムのものが出回ってますので、乗り心地を気にする人はその点には注意が必要ですね。
まとめ
ということで、まとめです。
ホイールは(も)好きなものを買うことをおすすめします。
性能差で大きく違いが出る箇所はハブで、それ以外は競技志向でない場合は気にしなくて良い性能差です。
であれば、性能を気にせず自分が惹かれる部分を優先して選ぶのが一番かなと思います。
性能比較ならハブ。それ以外は見た目で良いかなと。手組みは丈夫にも組めるし、壊れても直せるし、クロモリにもしっくり似合うロマンがあります。
予算に合わせて欲望に素直に選ぶのが個人的にはおすすめです。
終