自転車乗りにおけるモラルの種類と向上について

与太話考察

最近、コスプレが前提のエンデューロイベントで落車が多発したとかで、スタッフサイドの視点で書かれたBlog記事が私のTwitterタイムラインにも流れてきました。

記事を何度か読んでみて、ざっくりですが私の印象としては
「ママチャリならいざ知らず、スポーツバイクはスポーツするためのものだから、スポーツに付き物の危険が伴って、なるべく安全性を高めて楽しくするためには技術と知識が必要です。だからそのつもりで事前準備をしてきてね」
という内容に見えました。

これについては、ニュアンスも含めて上記のように感じて、書き方や言い方にその人の人となりが出ているとは思っても「上から目線」や「厳しさ」などは全く思わず、むしろ「目線を下げている」印象で「優しさ」すら感じました。

私はイベント自体には参加していないし、その記事が私に与えた影響というお話ですね。まぁ、書き手について以前から知ってる人はまた印象が違うんでしょうけど。

今日はこの記事に触れたことで考えた、自転車界隈のマナー、モラル、リテラシーについて、私なりの付き合い方を記事にしてみました。

自転車界隈に存在する複数あるマナーやモラル

スポーツバイクに乗り始めて暫くしてTwitterをはじめ、既に5年が経過しましたがその間ずっと「自転車乗りのマナー」の問題に触れてきたような気がしています。

多くの場合は信号無視をはじめとする道路交通法違反ですが、ヘルメットの着用についてや、ジャージにレーパンでのTPOと言ったところから、イベント時の危険走行まで様々な問題で多くの人が憤っているのを見てきましたし、私もその内の一人でした。

ただ、一方で最近は自転車との付き合い方は人それぞれなのに”自転車クラスタ”といったようにひとくくりにして見てしまうことで、問題を複雑にしているようなところも感じていました。

自転車乗りをグループ(クラスタ)で分けるのは非常に難しい

自転車に乗っている人には色んな人が居ます。

最近ハマっている早起きをして朝食を食べに行くライド

私の主観になり当たり前のことなんですが

Q.自転車になぜ乗るか

  • スポーツとして乗っている人
  • 移動手段として乗っている人

となると思うんですが、実はこの中にも

スポーツ目的で利用

  • クリテリウムやロードレースなど競技のために乗っている
  • ヒルクライムレースのために乗っている
  • ブルベのために乗っている
  • 山を滑走(マウンテンバイク)を楽しむために乗っている
  • 健康のために乗っている
  • ツーリングで乗っている(車のドライブ同様、観光など含む)
  • キャンプのために乗っている

移動手段として利用

  • 移動時間の短縮に乗っている
  • 楽だから乗っている
  • 子供の送り迎えに乗っている
  • 通勤/通学に乗っている
  • 節約のために乗っている
  • ファッションの一部として使っている
  • 仕事で必要で使っている

などなど、あると思います。

これ、面白いですよね。この中にはスポーツ自転車って言っても目的は全然違うし、じゃぁ移動手段で考えたってシングルギアは私のような人からするとスポーツ利用よりファッションや移動手段のイメージが強いように感じます。

当然、クリテリウムなどのレースに出ている人はレーサー同士が近接し合った走行や高速でのコーナリングなどは得意だし、マウンテンバイクに乗っている人はバイクコントロールに優れているし、ブルベなどのロングライド好きは様々なサバイバルに長けているし、スポーツ目的ではないですがメッセンジャーはスポーツバイクに乗っています。

じゃあ違う視点で運転免許の有無を見てみたら、免許を持っている人は当然右折レーンを使って右折してはいけないと分かっているけど、持ってない人は分からない人も居るかも知れないし。このことについては自転車の運転のテクニックや経験はおろか、ロードバイクやママチャリといったセグメントも関係ない訳です。

トレインを組んでハイスピードで走る恐らく競技者に見える集団も、信号無視して行くところを目撃するしするし、外国人なんてほぼほぼ信号無視する人しか・・・(笑)

視点を少し自転車乗りから離してサイクリングロードを想像すると、横に広がって道を塞いで並走する野球の一団をロードバイクからは「自転車は並走するな!」と思う人も居れば、野球の一団からすると「安全なはずのサイクリングロードであんなにスピード出して危ない!」と思ったりする訳です。

多様化が加速する自転車界隈

もともと自転車界隈は様々な人が居ると思います。しかし、ここ数年で起きた自転車ブームの影響もあり、加えて更に様々なジャンルで興味を持った人達が入って来たことは間違いないかと思います。

何も自転車だけではなくキャンプなどもブームが起こっており、遊びや生き方そのものが急激に多様化し、相性の良い文化同士が相互に流れ込んでいる状態だと思います。

そういう意味で自転車乗りは複数のクラスタに属していると思うので、あんまり自分がどこだとか考えるのはナンセンスだと思うんですね。

それよりも、本当かどうかは分かりませんが以前テレビで見た内容では、普通の遊びに飽きたアメリカ人が山を走り始めた(マウンテンバイク)ことに目を付けたシマノの開発者が、苦労の末に泥などに強いコンポーネントを開発したおかげで急成長できたとかで、多様化するタイミングは新たな価値が生まれるタイミングでもあるんだと思うんで、そういう方に目を向けた方が楽しいんじゃないかと単純に思わないですかね。

マナーやモラルとはどう向き合い、どう付き合うか

これも個人的な考えですけど、”自分がどうするか”という視点で物を考えた方が良いと思います。自分がどのクラスタに居て、どういう風に思われているかなんて言うのは人に言われない限りは自分で決めることだし、例えどのクラスタに居たとしてもそんなこたーどうでも良いことです。

他人を気にしても楽しくない、他人に期待しても意味がない

例えば、いま現在、ロードレーサーしかなかったとしてそこに改造してサスペンションやらを付けたマウンテンバイクが登場したとしたら、きっとローディの間では「山を荒らすな」とか「凄いスピードで降りて行って怖い」とか「死ぬのは勝手だが、捜索で多くの人が動いて迷惑がかかる」とか様々な否定的な意見が飛び交うと思うんです。

でも、辞めないでしょ。文句がうるさいんだったらこっそりとやると思うんです。そして本当に面白いんならスポーツとして定着させたいので安全性に考慮するし、会社だって作るし。そこに面白さを感じたユーザーはそのマインドに共感して広めていくと思うんです。

何かを始めるなら、知らないことを吸収し、また先人に出会って教えて貰ったりするのかなと思います。人によって吸収するスピード感は違うし、教えてくれる先人だって実力や教え方もまちまちな訳です。

良く言われることですけど、「他人を変えるのは難しい」んです。「自分を変えろ」とは言わないですけど、とは言え自分の人生は結局自分が何をするかでしかないですからね。他人のために何かをするなんて満足感は得られても所詮大したことなんてできないですよ。自分のために何かをする方が大抵は良いことができると思います。

自転車乗りは根本的に勉強好きな人が多い

こんなことを言うのも変な話ですが、私はスポーツ自転車に乗っている人達のことを根本的に勉強好きだと思っています。

サイクルモードなどのイベントにある初心者向けの講習会などはかなりの人気ですし(ステージのようなところで横並びでやるので恥ずかしいと思うのですが、大人気ですw)、ああいうのを見ると非常に真面目で、前向きなんだなと分かります。試乗会のブースではヘルメットの前後を逆にかぶってるくらいのド素人も見かけるくらいです。しかし、それが悪かと言うと、サイクルモードに来ている人は熱心な人そのものじゃないですかね?

今は開催されていないですが、ファンライドイベントでもグランフォンドなどはその中でも走り方などに興味が強い人が多いように思います。私が初めて参加したグランフォンドは、ちゃんと完走できるか、準備は大丈夫かなど色々と調べて、かなり緊張しながら参加した記憶があります。

また、私が唯一参加したことがあるクリテリウムイベントには初心者向けの講習が含まれていて、こちらも大人気でした。

2回目ですが、根本的にスポーツ自転車に興味のある人は勉強熱心な人が多いんじゃないかと思うのです。

しかし、それでも不幸な事故は起きてしまうんですね。

当たり前ですがイベントは利益を出さないと継続運営はできない事情があるかと思います。しかし、それよりも事故やもっと言うと死亡者を出してしまう方が、みんな不幸になるのは事実なんだと思います。これだけ「安全安心」って言われてる世の中ですからね。

多様化されたクラスタをまとめて一遍に変えるのは難しいです。だから自分に縁遠いところに何かを求めて期待するよりも、自分の身近なところだけでも、贅沢言えば自分が関わるクラスタに対して自分にできることで貢献していく方がずっと建設的で尚且つ自分自身もストレスフリーなんじゃないでしょうか。

先に書いた通り、レースイベントに参加している人はレースに対しての知見は高い訳で、逆にグルメライドしている人はグルメへの知見は高い訳です。

イベント開催者側と参加者側、それぞれの違った視点がある訳なので、それぞれの領域でそれぞれの視点があることを理解し、自分ができることを自分ができる影響力の範囲で取り組むのが結果的には全体の繁栄につながると思うんです。

確かに運営側ができることは沢山あると思います。しかし、自転車は危険なスポーツです。中でも集団落車が伴うクリテリウムやエンデューロは一般生活上では絶対に学べない競技のマナーやテクニックがあると思います。

どのようにすれば安全に走れるのか、参加者のレベルはどの程度なのか、事前に情報収集をして参加を検討したり、対策を考えたり練習するくらいはしても良いんじゃないかと思います。

危険が伴うものという認識を持っているからこそ、自分の知らない世界に入る時は多少なりとも調べるようにする。それが最低限自分で楽しむこと。好きな自転車界隈を育てることなんじゃないかと思うんです。

 

与太話考察

Posted by ぶりおにーる