J-Fitモアがとても良いんだけど、それは性能だけではないのかもしれない

パーツハンドル, 東京サンエス

サイクルモードに行ってきました。またしても東京サンエスさんのブースで色々とお話を聞かせて貰いました。6月の新潟シティライド以来だと思うので5ヶ月ぶり!?今年は骨折もあったのでなかなかお会いできなかったですな~。

他のブースもですが、やっぱりメーカーさんは色々な話が聞けて面白いです。

ちなみに、気づけばいつの間にかサンエス製品が増えてきたうちの自転車環境。Pちゃんのも入れるとシートポスト、ステム、ハンドル、クランクがサンエス製品として自転車に取り付けられています。

私もついにBASSO購入のタイミングでハンドルをJ-FitシリーズのJ-Fit モアを取り付けることに。価格面も良いんですが、評判が良いので試してみたい好奇心の方が大きかったです。

コンセプトはとにかく楽なポジションで

BASSOを組み立てる時のコンセプトはとにかく楽なポジションで。

BASSO ASTRAはスタックがCAYO比較で6mm高いのに更にコラムを3cmくらい(適当に)長めにカットしていて、更に更にハンドルもリーチが10mm短いJ-Fitモアにしました。

ちなみに、1年以上前にCAYOのハンドル交換をしようとしたらスピリートの島田さんに「今ついてる完成車のこれで問題無いと思いますけど」と言われ、まぁ確かにリーチとハンドル幅以外は気に入っていたのでそのまま使っていました。

それを今回のテーマに沿って(肉体の強化は見ないことにして)パーツを選んでいった結果、リーチは計算上、3.2cmも短くなりました。感覚的にはもっと短く感じるのですが、約3cmという長さはレバーを握るのとブラケット部分に手を置くくらいの違いがあるので、相当違うということが分かるかと思います。

1つのパーツで変えず、組み合わせて調整する

自転車のリーチについては、複数パーツを組み合わせて調整するのが重要だと思っています。

座位に関しては、クランク長、シートポストのセットバック、サドル位置、ハンドル位置に関しては、コラムスペーサー、ステム(ステム長、ステム角)、ハンドル(ハンドル幅、ハンドルリーチ、ブラケット取り付け位置)です。

殆ど全部じゃねーか!・・・という(笑)

リーチ計算の概要イメージ

参考:ロードバイクのブラケットまでのリーチを計算する表を作ってみた

分かりやすいところで言うと、ステムですが、ステムの長さを変えるだけでリーチの問題が解決するかと言うと、個人的には上手く行かないような感じがしています。

Tips:ハンドルタイプについて

ハンドルの形状は一般的には3タイプあって、クラシックタイプの自転車に良く取り付けられていて肩部分から傾斜しているシャロータイプ、曲線ではなく角で形成されているアナトミック、そしてその両方の特長を捉えて且つリーチを短めにしたアナトミックシャロー(コンパクト)とそれぞれ特徴が分かれています。

これを私の好みで判別すると

シャロー
肩から傾斜がかかっていて、途中にブラケットを取り付けるのでブラケットを握るポジションでハンドル位置がかなり低めになる。見た目は非常にカッコイイがFOCUSのような前傾姿勢を取りがちなバイクだと前傾が深くなりすぎてしんどい。

アナトミック
私が好きなタイプ。ドロップ部分との落差が最も大きくリーチも割と長いタイプが多い。ただし、ハンドルが直線と角でできているので自分の好みの位置に線があると非常に握り心地が良い。形状のせいでブレーキ位置が遠くなるデメリットが良く語られるけど、レバー位置は調整できるのでここはあまりデメリットではない印象。個人的に最も良いのは、肩の部分が傾斜してなくて水平のため肩とブラケットを直線にできる部分。

アナトミックシャロー(コンパクト)
コンパクトと言いながらそうでもなくね?と言う物が多い印象。下ハンのエンド側(末端側)が長めに作ってあるため、肩から真下に手を降ろすような楽なポジションが取りやすく、素材にもよるが末端はしなって衝撃が吸収されるタイプもある。ただ、個人的には下ハンを握りながらのブレーキが最もしにくいと感じる。折角ドロップ量は少ないのにブレーキを握るとしたら下から押し込むように手を当てないといけないので疲れる印象。

といった印象になります。

選んだJ-Fitモアというハンドル

ハンドル選びに関しては、上ハンはハンドルの肩からブラケットにかけて真っすぐフラットにするのが好きなので、アナトミックかアナトミックシャローで、リーチを多少短めで380mmのハンドル幅とうことを条件に探しました。

ハンドルからウナギを連想する日が来るとは・・・

J-Fitシリーズはハンドル幅が10mm刻みの幅広いラインアップで選べ、リーチもサイズに合わせて違っていて幅400mmを境に75mmと81mmとなっています。何て言いながら、もうね、アナトミックでショートリーチを調べてみると分かるんですけど、条件に合うのが全然ないし、あっても高いので以前からの興味と色々探すのが面倒臭くてこれにしました(笑)

で、結局買ったJ-Fitモアのスペックをというとアナトミックタイプだけど前述のとおりリーチは75mmと短く、ドロップ量も115mmと大きく、パッと見は他と同じでも、海外メーカーのものとは大きな違いがあります。

例えば、以前使っていたEASTONのEA30 AEROというエアロハンドルはアナトミックタイプですが、こちらはリーチが85mmでドロップ量が140mmと大きく体幹が強くメリハリを持って走りたい人向けかと思いました。

CAYOで使っているハンドルは、FOCUS完成車付のアナトミックシャローだったのでドロップ量は少な目のため、スプリントを本気でかけるようなことが無い人には用途には適しているように思います。

そんなEA30とFOCUS完成車付はどっちも一長一短であって、どっちが良い!というほどの決め手になるところはありませんでした。

ところが、J-Fitモアはとてもしっくり来ています。「あれ?」と思ったのは下ハンで、下ハンでブレーキレバーの位置に手を置いた時、とても自然な感じがしました。

今までのハンドルは、ブレーキレバーを握るポジションが随分と奥の方にある印象で、エンド部分を持つのは楽なのにブレーキレバーを握るポジションになると滅茶苦茶しんどいということがありました。しかし、J-Fitモアはそれが無い。今まで下ハンを持つときはエンド部分に手を置きがちだったのが、ブレーキを握る重要なポジションに違和感がないのは大きな違いでした。

また、手のひらにとてもフィットするのが魅力です。直線の部分もRの部分も関節の曲がりに非常にフィットする。EA30と同じような形に見えるのに何なのか、ここは本当に良いところだし、不思議なところでした。

中央から外側に向かって折れるR部分が、サドル側に湾曲している特殊な形状

ちなみに、Pちゃんが使っているJ-Fitアークはシャロータイプですが、フラット部分から肩にかけてのRが特殊でシャローなのにリーチが短くなるように工夫がされています。

ハンドルの選び方

ここまでJ-Fitモアを褒めてきて、んじゃ、J-Fitモアもしくはそのシリーズを買おうと思った人。・・・そいつはちょっと待てーい!

というのも、実はサイクルモードでサンエスさんのブースに行き「ハンドルの選び方」について、何かあるのかを聞いてみたんです。返ってきた言葉はまさかの「フィーリング」でした(笑)

しかし、思い返してみると以前スピリートの島田さんにも同じようなことを聞いたら、「好みですね」みたいな返答が返ってきて、だいたい同じことを言う訳です。

もう少し詳細を言うと、ハンドルの形状などは握りやすさなどがしっくりくるかなのでフィーリング、そして例えばアルミでも素材によって硬さは違うし、勿論カーボンは振動吸収性などが高いので、ここもどういう乗り方をするかなどがあるので好みであり、その他サイズに関してはやはり乗り方+フィッティングをして合わせないと分からないので、どういう人にはどれが良いという言い方ができない・・・とのことでした。

・・・自転車のパーツはどれをとってみても「どの人にはどれって言えない」という答えに行きつくし、1つの要素ではなく好みとフィジカルといった組み合わせで検討することが殆どなんですよね。

なので、乗り方、楽しみ方、フィジカル、フィッティングなどでおおよその合うハンドルの当たりをつけて、それが絶対ではなくあとは好みで最適解を見つけていくとなるようです。

B to B to Cというビジネスモデル

ちなみに、私の自転車を見て貰っている自転車屋スピリートさんは浅草にあり、東京サンエスさんは割と近所の上野御徒町にあるからなのか、扱ってるパーツがサンエスさんのDIXNAやOne by Esuが多いです。

スピリートの島田さんは、もともとレーサーですし職人気質なところがあるので、同じように物づくりにかける考え方に共感できるようなところがあると店の取り扱いに加わる・・・直接本人に聞いた訳ではないですが、話していると何となくそんなところを感じますし、サンエスのスタッフさんと話していてもそんな販売店をやっぱり大事にしているように見えます。

スポーツ自転車はBtoBtoCというビジネスモデルが一般的です。メーカーや代理店(Business)が、販売店(Business)に卸して、販売店がユーザー(Customer)に販売します。

このモデルは、ビールメーカーと飲食店、小売店を想像すると分かりやすいです。ビールメーカーは飲食店に生ビールの樽を入れると、その売り上げを確保しつつ実際に飲んでもらえるので、スーパーなどで同銘柄を買うブランディングに繋がり、メーカー側にとっては非常に重要な顧客です。

このことから、ビールメーカーは自社のメイン商品であるビールを直接通販などでユーザーに販売するようなことを基本的にはしません。それをしてしまうとスーパーやコンビニへのお客さんを取ることになり、パートナーに対して喧嘩を売る行為になるからです。

ビールと自転車では予算規模(売上規模)が違うとは思いますが、メーカー直販がビジネス界隈で一般的に嫌われる理由はこういった持ちつ持たれつの関係を崩してしまうところがあったりはします。

別に他のメーカーと比較する訳ではないですが、東京サンエスさんは直接自社での販売はしていません。Amazonや楽天などECでの販売も同様にしていません。それは、こういった販売店を大事にしているということと、バイクパーツというのはやはり販売店でのヒアリングやフィッティングをしないと安全かつ本来の性能を引き出せず、ユーザーの満足度が上がらないと思っているからだそうです。

要するに自転車を販売するサイクルの中には、ただカタログの知識を持った販売員ではなく自転車販売店となる技術者の存在が不可欠だと考えているのだと思います。

Qファクターを狭くするためにクランクに彫られた溝

口で言うのは簡単ですが、ハンドル幅を10mm刻みで開発したり、クランクを130mmから用意したり(ペダル穴の位置を変えるだけでなくクランクの設計自体を変えている)という、製造コストや在庫リスクを考えると全くもって非効率なことまで体現してしまうメーカーでもあると思うんです。

自転車の性能はスピードだけではない

ライドイベントやサイクルモードで会う東京サンエスのスタッフの方々と話していて、いつも感じるのは「自転車の乗り方(付き合い方)」と「素人だからこそプロが入る必要性」について、この2つのことが本当に重要だということをいつも感じるのでした。

色々とメンテナンス記事を書いておきながら矛盾するんですけども。

私は乗るからにはやっぱりある程度は体を鍛えたいし、とは言えスポーツ選手のようにまでは鍛えられないのは分かっているし、ゴリゴリのスピード重視のセッティングはしたくないし、とは言えロングライドでスポーツ感覚を味わいたいし、プロダクトに関わるマーケティングやブランディングも知りたいし、プロダクトに関わる考え方や技術なども見たいんですよね。

ただの一般ユーザーですけど、ブランドはその商品を使っている人達によって構築されていくところが多分にあるし、それがファンである訳だし、なんだかそういったブランドを一ファンとして背負ってると考えると、パーツにも愛着が湧き、モノ選びも楽しくなってくるんですよね。